福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
福西崇史の「いいね!」は岡崎慎司。
三好康児の大活躍に陰の貢献あり。
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph byGetty Images
posted2019/06/21 17:00
1トップで先発出場した岡崎慎司。ゴールこそなかったが、献身的な動きで若手たちの活躍をアシストした。
中島のボールキープ、川島の安定感。
また中島もボールキープの時、先に競り合う相手に身体をぶつけていました。こればかりは強い相手と戦い、肌で感じ取って自分のものにしていくしかないし、若い選手もコパ・アメリカを機に、岡崎や中島が見せたようなプレーをどんどん増やしていってほしいと思いますね。
経験値の部分で言えば、川島(永嗣)についても触れておきたいです。正面を突いたシュートが多かったとはいえ、カバーニとの1対1なども慌てることなく落ち着きがあったからこそ防げたもの。2失点したとはいえ、彼の存在が守備に落ち着きをもたらしたと感じます。
スアレス、カバーニに立ち向かった日本DF陣
そういった日本の良さが見えたとともに……ウルグアイの技術と圧力は本当に凄かったですよね。序盤こそ“のらりくらり”と戦っているふうに見えたかもしれませんが、日本がどう戦ってくるのか見極めようとしていた印象でした。
後半に入ってからは、ウルグアイの“本気度”が一気にアップしました。勝ちにいく姿勢、貪欲さが明らかに変わったし、球際やセカンドボールへの反応がより激しく、鋭くなった。そして2-2になった同点ゴールでは、1つのセットプレーを確実に決めてくる。そのしたたかさが本当にすごいな、と。
スアレスとカバーニの強烈な個の能力に脅威を感じた人も多かったでしょう。得点こそスアレスのPKの1点に抑えましたが、この試合だけでスアレスが11本、カバーニが8本のシュートを放っている。マッチアップしている選手としてみれば、たまったものじゃないです(笑)。
キックオフ直後にスアレスが川島の位置を見て狙ったロングシュート、カバーニのクロスバー直撃の一撃、そして終了間際にスアレスがゴールを背に向けているのに胸トラップから一発で前を向いてシュート……。強引にでも自分の形に持ち込んだり、バランスが崩れているはずなのに際どいコースに蹴り込んでくる。これこそ、ワールドクラスだなと。
その2人に立ち向かった冨安(健洋)と植田(直通)は2失点したとはいえ、よく耐えた、と感じます。植田のPK判定はかわいそうだなと思いつつ、スアレスにターンされてかわされたり、一度キープされるとボールを奪えないなど個人能力の差を味わった。そのパワーと技術を体験したことは、間違いなく今後に生きるはずです。