話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
「コパは経験しに行く場ではない」
三好康児の野心家ぶりが頼もしい。
posted2019/06/12 11:45
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
Getty Images
いつも話をしていて思うのだが、横浜F・マリノスの三好康児は腹の底にグツグツと煮えたぎるような大きなエネルギーを抱えている。しかも意外と言えば失礼かもしれないが、周囲と自分の置かれた立場を冷静に分析し、かつ野心家でもある。
そんな三好が、コパ・アメリカを戦う日本代表に選出された。
開幕から右インサイドハーフとしてスタメン出場を果たし、13試合3得点1アシスト。横浜F・マリノスの攻撃を牽引しているのはもちろん、数字に表れない貢献度が高いプレーも見せた。そうしたプレーが森保監督に評価されたのだろう。
今回のA代表選出には、複数の意味がある。
ひとつは、将来を見据えての代表編成であると同時に、東京五輪を戦うチームへの選考、見極めを兼ねていることだ。
トゥーロン国際大会にも東京五輪世代のチームが編成されているが、森保監督が直接、指揮を執るA代表に入った選手は当然トゥーロン組よりもアドバンテージがあり、五輪代表のメンバー入りに向けて最短距離にいることは間違いない。
全員が競争している状況に変わりない。
だが、三好はそういったポジティブな見方に同意はしない。
「A代表に入ったからといって五輪代表に優位とかはないですし、コパに行けるからといって東京五輪に出られるわけじゃない。コパに行って何ができるかが重要ですし、選手選考についてはフラットだと思います。トゥーロンに行ったメンバーもいますし、全員が競争している状況に変わりはないと自分は思っています」
極めてまっとうで冷静な視線で自分のポジションを見ている。
コパ・アメリカは南米各国のA代表チームが集うが、若い選手が主体となる日本代表はともすれば“経験”に主眼が置かれがちだ。だが、そうした最初から勝負を度外視したかのようなような見方に対しては口調が厳しくなる。