オリンピックPRESSBACK NUMBER
男子マラソン3強の1人、井上大仁。
ボストンの教訓は「コース研究」。
text by
西本武司(EKIDEN News)Takeshi Nishimoto
photograph byEKIDEN News
posted2019/06/01 17:00
4月のボストンマラソンで2時間11分53秒、12位でゴールした井上大仁。
2度目のボストンで優勝した瀬古。
1980年のモスクワオリンピックにボイコットのため出場できなかった瀬古は、1981年のボストンマラソンに再度挑む。
そして瀬古が仮想ボストンとして「準備」の場に選んだのは、大きなアップダウンのある30kmの「青梅マラソン」だった。そのレースで、瀬古は2019年まで破られることのなかった1時間29分32秒という記録を残した。
その記録をひっさげて2度目のボストンに臨み、1979年にビル・ロジャースがボストン・マラソンで打ち立てた2時間9分27秒のアメリカ記録を1秒上回る、2時間9分26秒で優勝している。
「徹底的に準備せよ」との教訓。
ロジャース、瀬古、そして川内。歴史に残るボストンの勝者は、十分な準備をして勝利をつかんでいる。そしてこれはボストンだけにあてはまる教訓ではないはずだ。
MGCで勝ってオリンピックの出場権を得るには、そして東京オリンピックで世界を驚かせるためにはコースを徹底的に研究し、ホームアドバンテージを活かさない手はない。前評判だけではオリンピックには出られないし、勝てない。「TOKYO仕様」に身体と頭をしあげなければいけないのだ。
「徹底的に準備せよ」
井上が出場したボストンマラソンから、日本人ランナーが得られる教訓はこれだろう。
注目される3選手以外にも下馬評を覆すジャイアントキリングを狙う選手もいる。ここから9月までMGCファイナリスト全ての選手の動向が見逃せない。