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男子マラソン3強の1人、井上大仁。
ボストンの教訓は「コース研究」。
posted2019/06/01 17:00
text by
西本武司(EKIDEN News)Takeshi Nishimoto
photograph by
EKIDEN News
東京オリンピックのマラソン男子日本代表選考レース、マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)には31名が出場する(MGC出場権利をもつ34名のうち3名はドーハ世界陸上に出場するためにMGCは出走しない)。
この顔ぶれの中で持ちタイムやこれまでの実績からも、頭ひとつ抜けた存在であるのが、大迫傑(NIKE)、設楽悠太(HONDA)、井上大仁(MHPS)の3人であることは間違いない。
いち早くMGCの権利を得た3選手は、9月15日のMGCに向けて三者三様の調整をすすめている。
極寒の東京マラソン2019では途中棄権に終わった大迫傑は、5月2日アメリカ・ペイトンジョーダン招待5000mにてトラックレースでシーズンイン。本調子ではない動きながらも13分40秒48とまずまずのタイムを出した。
次に日本選手権10000mに推薦枠で出場を狙ったが叶わず。日本陸連の選考基準が話題となったが、同日開催の東海大記録会に突如登場した。3000mを7分59秒87、その30分後には5000mを14分00秒75の2本を立て続けに走り、たまたま東海大に居合わせた陸上ファンを驚かせた。
大迫はトラックでスピードを磨きながら、徐々に距離を伸ばしていく戦略なのだろう。
設楽悠太は疲労を抜くことに専念。
東京マラソン2018で日本記録更新を達成後に故障した設楽悠太は、昨シーズンは溜まった疲労をしっかり抜くための「開店休業」のような時間を送った。
その設楽は今季、4月14日の金栗記念5000mでシーズンイン。「久々のトラックレース走り方がわからなすぎてスパート早すぎた笑」(原文のまま)と、ツイッターに書いたほどの久しぶりの実戦だったが、13分35秒70で5着に入った。
そのわずか2週間後の4月28日には、ぎふ清流ハーフマラソンを走り、61分36秒で日本人最高の5位。さらにその1週間後にはゴールデンゲームズinのべおか10000mに登場して、27分53秒67で1位となった。
そして、のべおかの表彰式の場で、MGCの2カ月前となる7月のゴールドコーストマラソンへの出走を発表。東京マラソン2018で日本記録を出した過程と同様に、実戦レースで負荷をかけていきながら調整していくスタイルでMGCを迎えるようだ。