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平成最後も令和初日も東京ドームで。
古さが心地いい、ニッポンの記念碑。 

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中溝康隆

中溝康隆Yasutaka Nakamizo

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photograph byYasutaka Nakamizo

posted2019/05/07 17:30

平成最後も令和初日も東京ドームで。古さが心地いい、ニッポンの記念碑。<Number Web> photograph by Yasutaka Nakamizo

1988年から30年以上経っても……この建物の前での興奮は変わらない!

何百回体験しても胸躍る最高の景色……。

 4月30日、混み合うJR水道橋駅の西口の改札を抜け、ウインズ後楽園を横目に文系野球の聖地「オークスブックセンター 東京ドームシティ店」の前を通り過ぎると、東京ドームの白い屋根が見えてくる。どんなに日常で嫌なことがあっても、ここに来れば何度でも生き返る。

 中学1年の夏に兄貴に初めて連れて来てもらって以来、何百回体験しても胸躍る最高の景色だ。

 空模様は怪しいが、そこは屋根付き球場の強みで心配はいらない。もちろん野球は青空の下でやれたらベスト。でも、日本の天候事情を考えると、ドーム球場がなければ年間143試合のスムーズな試合消化が難しいのも事実だ。理想と現実の落としどころ。

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 総天然芝、開閉式の屋根、希望を言えばきりがないが、いったい巨人の本拠地は今後どうなるのだろうか……。

「伝統引き継ぎ 巨人新時代へ」

 参考までに『週刊ベースボール』を調べると、東京ドーム構想が動き出したのは1978年、工事開始は'85年、工事期間は1036日、延べ23万7000人が関わったという。

 今話題の新・神宮球場(秩父宮ラグビー場跡地が予定地)も東京五輪終了後の2027年にオープン予定だ。球場は建設計画が動き出してから完成するまで、やはりそれ相応の時間と資金が必要だ。恐らく、巨人は令和もしばらくは東京ドームとともに戦うのだろう。

 入場口では読売新聞の特別号外が配布されていた。「伝統引き継ぎ 巨人新時代へ」の見出しに、平成30年間で両リーグ最多の12度のリーグ優勝、日本一6度の巨人の戦いを振り返っている。

 本日の平成最後の試合、斎藤雅樹、桑田真澄、槙原寛己の往年の三本柱が揃って始球式に登場する。あのテレビ視聴率48.8%を記録した94年10月8日の中日との同率優勝決定戦の主役たち。ボールを受けるのは当時の正捕手・村田真一。彼らも皆、50代のおじさんになった。

 緊張した面持ちの槙原、笑顔で元木コーチの肩を叩く斎藤、先に投げた先輩2人に負けじと速球を投げ込んだ桑田。

 当時の野球少年たちも、30代や40代の中年男性となり、連休中に家族連れで球場へ来たファンも多いだろう。俺らもプロ野球も色々あった。あの伝説の一戦から、もう25年もの歳月が流れたのだ。

【次ページ】 世の中は変われど原辰徳は不変!

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