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大型GWがサッカー観戦で終わる予感。
国内も欧州も、驚くほどの激戦続き。
posted2019/04/25 11:30
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph by
AFLO(3)/J.LEAGUE
日本のゴールデンウィークに世界が気を遣うはずもないのだが、今年のゴールデンウィークは、サッカーをじっくり楽しむには十分すぎるほど国内外のビッグゲームが集中している。
スペインのラ・リーガは4月26日(金)のヘタフェ対レアル・マドリーに注目が集まる。バルセロナのリーグ連覇がほぼ確定しているラ・リーガは、来季のUEFAチャンピオンズリーグ出場権争いが白熱。2位のアトレティコ・マドリーと3位のレアル・マドリーはほぼ当確として、ヘタフェ、バレンシア、セビージャの3チームが繰り広げる4位争いが面白い。第33節終了時点で、3チームの勝点差はわずか「2」と肉薄している。
サプライズは柴崎岳が在籍するヘタフェだろう。ホセ・ボルダラス率いるチームは堅守を武器に快進撃を見せ、37歳のホルヘ・モリーナ、30歳のマタがゴールを量産してチームを牽引。昨年12月のレアル・ソシエダ戦以来出番のなかった柴崎は、セビージャとの直接対決となった第33節で4カ月ぶりに出場し、存在感をアピールした。レアル・マドリーとバルセロナ、さらに残留争いに巻き込まれているビジャレアル、ジローナと難敵との戦いを残しているが、勢いなら実績でリードするセビージャやバレンシアよりも上。26日のレアル・マドリー戦で勝点を拾うことができれば、クラブ史上初のUEFAチャンピオンズリーグ出場権獲得も現実味を帯びてくる。
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翌27日(土)はドイツ・ブンデスリーガのルール・ダービーが熱い。
首位バイエルンを勝点1差で追うドルトムントは、一時期の失速で首位の座を明け渡したものの粘り強く勝点を積み重ね、2011-12シーズン以来となるリーグ制覇にあと一歩のところまで迫っている。対するシャルケは降格圏に肉薄する厳しい順位にいるが、「世界一熱い」と評されるルール・ダービーに順位は関係ない。両者にとってシーズンを占う大一番となることは間違いないだろう。
J屈指の好カードは神戸vs.川崎。
28日(日)はJリーグだ。第9節屈指の好カードはヴィッセル神戸vs川崎フロンターレ。いずれも“つなぐサッカー”をスタイルとする両者だが、今シーズンのスタートは苦戦を強いられており、完全復調を遂げるためにも重要な90分となるだろう。
神戸は昨季途中からチームを率いてきた世界的知将フアン・マヌエル・リージョの突然の退任が発表され、それと同時にルーカス・ポドルスキが主将の座から離れるなど内情の不安を露呈するニュースが続いた。今季はイニエスタと同様にスペイン代表の黄金期を築いたFWダビド・ビジャが加入。開幕直後にはバルセロナ下部組織出身のMFセルジ・サンペールも加入し、昨季から推し進めてきた“バルサ化”を急加速させた。しかし、第6節の松本山雅FC戦を機にまさかの3連敗。厳しい状況を打破するためにも、リーグ3連覇を狙う王者・川崎フロンターレをホームで倒したい。
一方の川崎も今季は苦悶のスタートとなった。開幕からの3戦連続ドローでスタートダッシュに失敗すると、続くガンバ大阪戦に敗れて4戦未勝利。第5節の松本戦でようやく初勝利を記録し、その後は“個の違い”を見せつけて勝点を取り戻している。本調子とは言えなくても中盤の構成力はリーグ随一だ。中村憲剛や家長昭博、大島僚太ら国内屈指のタレントが、イニエスタを中心とする神戸を相手にどんなサッカーを見せるのか。中盤の主導権争いはJリーグ最高レベルのエンターテインメントとなるに違いない。