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エジルは再びハッピーになれるか?
良き羊飼いエメリの起用法に注目。
 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2019/02/26 11:00

エジルは再びハッピーになれるか?良き羊飼いエメリの起用法に注目。<Number Web> photograph by Getty Images

屈指のプレーメイカーとしてアーセナルを引っ張り続けたエジル。エメリ監督はその能力を引き出せるのか。

「謎」の試合欠場が続いた。

 エメリ新体制下は開幕当初、エジルにもハードワークを要求する「特別扱いなし」の姿勢が評価されていた。しかし後半早々の交代どころか、試合開始からピッチにいない試合が増えるにつれて、エメリが「特別」な犠牲を強いているようにも思えてきた。チームで最高の攻撃センスを持つエジルが、あえて使われないのだから。

 仮にエジルが、古典英語で「ハッピー」を意味する「エディ」という名のイングランド人選手であれば、ウェストハム戦での采配には非難の声が上がっていただろう。敵地ながらボール支配で優位に立った一戦は、前述通りラストパスにクオリティを欠いて完封負けを喫したからだ。

 おまけに相手の決勝点を演出したのはサミル・ナスリだ。元アーセナルMFに勝るとも劣らぬ創造力を持つエジルは、ベンチにすらいなかった。

 2月9日のハダーズフィールド戦(2-1)も勝利したとはいえ、内容的には同様だった。エジル抜きのアーセナルはリーグ最下位を相手に魅力を欠いた。

 ハダーズフィールド戦でのエジル不在の理由は、公称では病欠。しかしながら、欠場の理由が体の不調であれ故障であれ、巷では「謎」と言われてしまうのが、ここ最近のエメリ体制におけるエジルだった。

メンタルとフィジカルは弱いが。

 その翌週のヨーロッパリーグ(EL)のBATEボリソフ戦(0-1)でも、エジルはベラルーシへの遠征メンバーに入らなかった。7割を超すポゼッションが得点に繋がらなかったチームは、格下に先手を取られてしまった。

 BATE戦後に限らず、会見での質問がエジルに及ぶたびにエメリが説明しているように、「パフォーマンスの向上」を求める姿勢は間違っていない。

 人並み外れた技術と感性で勝負するエジルだが、ここ一番で頼り切れないメンタルと、力づくで封じられやすいフィジカルの弱さが指摘されて久しい。新体制下ではホームにチェルシーを迎えた1月19日の第23節(2-0)のように、「エジル不要」を思わせる勝利も確かにあった。

 ただし、エメリが求めるインテンシティとプレッシングが明確に見て取れたが、チェルシーは下降線を辿り、マウリツィオ・サッリ新監督の首が危うくなる状況だったことを加味しないといけない。

【次ページ】 エジルがいれば、と思わせる試合。

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