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<球団レジェンドが解説>大野豊「短期決戦を勝つために」
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田村航平(Number編集部)Kohei Tamura
photograph byHideki Sugiyama
posted2017/10/11 10:00

今年は守護神・中崎(写真)の故障離脱もあり、今村が抑えを務める時期が長かった。ポストシーズンの起用法にも注目だ。
今年のカープには、自分たちは勝てるんだという自信と、昨年の日本シリーズで敗れたという悔しさが、混在しているように見えました。
特に野手は、今年こそ日本一になろうとレベルアップしています。なんと言っても1、2、3番の「タナキクマル」が、しっかり持ち場に収まっていることが強くなった要因でしょう。今まで自分のことだけで精一杯だったほかの野手たちも、的確に点を取るための状況判断をできるようになりました。苦手だった交流戦で昨年が3位、今年が2位と結果を残せているのも、普段は戦わないパ・リーグを相手にしたときの対応力が上がっている証だと思います。
一方の投手陣には、昨年ほどの安心感はありませんでした。中崎翔太と今村猛という、リリーフの二人の復調が必要になります。特に中崎は疲労もあって、本来のキレとコントロールがありませんでした。今村はフォークに頼り過ぎて、カウントを悪くしている節があります。調子が悪いときこそ、工夫して投球のバリエーションを広げるいい機会だととらえてほしいですね。
昨年の日本シリーズは日本ハムを相手に広島で連勝スタートを切りながら、札幌で3連敗を喫して、2勝4敗で敗れました。敗因はやはり、第3戦に象徴されるでしょう。1点リードの8回裏に大谷翔平を敬遠して中田翔に逆転打を打たれた一方、同点の延長10回裏は大谷と勝負してサヨナラ打を浴びました。カープとしては自分たちの野球をやることももちろん大事ですが、相手のキーマンが誰なのか、大谷なのか、中田なのか、レアードなのかをチームとして決める必要があったと思います。
こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
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