ワインとシエスタとフットボールとBACK NUMBER
日本の真の実力にトルシエが言及。
「まだ日本のマキシマムではない」
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byTakuya Sugiyama
posted2019/02/01 11:50
ひとつの大会を通じて徐々にチームがまとまり、個のプレーも生きるようになり……森保ジャパンは本当に強くなった。
「大迫、南野、堂安らが流れを引き寄せた」
「イランに得意な戦い方をさせないのが森保一監督の戦略だった。
ボールを保持してパスを回したときのイランは無類の攻撃力を発揮する。フィジカルの強さとスピードを生かした攻撃はアジア最強で、日本といえども簡単には止められなかったはずだ。
彼らにボールを持たせない――たとえ持っても自由にはさせない。
そのためにコレクティブにプレスをかける。日本の組織的な守備にイランは攻撃のリズムを狂わされた。
また攻撃では、日本はスピードとコンビネーションを生かした速い展開で、積極的に前へと仕掛けていった。
ボールを回す場面と、加速して一気にチャンスを作りだそうとする場面を交互に織り交ぜて、前半はイランに反撃の隙を与えなかった。大迫、南野、堂安……。彼らのアグレッシブで思いきりのいいプレーが、ゲームの流れを日本に引き寄せた」
イランは困難な状況を打破する術を持たなかった。
――たしかにスタートから、イランはいつになく神経質になっているように見えました。
「長友とアズムンが、開始早々にタッチライン付近で言いあっていたのを見たか? これまでとは違う戦いになると、イランの選手たちもすぐに理解したのだ。
ただ彼らは……自分たちの長所を封じられたときに、その難しい状況を打開する術を持たなかった、ということだ。
頼れるのはフィジカルとスピードだが、速い攻撃を仕掛けられないときに、フィジカルの戦いに持っていくしか彼らには方法がなかった。日本はできるだけ戦いを避けながらも、現実に戦いに直面した際には決してひかなかった」
――その勇気も勝因のひとつですね。
「そうだが、コレクティブなディシプリンと最後まで続いた集中力とフィジカル、すべての面で日本はイランを凌駕した、と私は思っている」