サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
覚醒を迎えた冨安と吉田が揃えば、
ロングボール戦術はもう怖くない!?
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byTakuya Sugiyama
posted2019/02/01 07:00
188cmの長身で空中戦を制する冨安。21日のサウジアラビア戦では決勝点となるゴールをヘディングで決めた。
槙野、三浦を含めた競争の中から。
数多くのパターンを試された中でつかみ獲ったレギュラーの座だ。森保一監督は'18年内に行った国際親善マッチ5試合で吉田麻也、槙野智章、三浦弦太、冨安健洋の4人のセンターバックを使い、4パターンの組み合わせをテストしていた。
9月11日・コスタリカ戦(○3-0)=槙野、三浦
10月12日・パナマ戦(○3-0)=槙野、冨安
10月16日・ウルグアイ戦(○4-3)=吉田、三浦
11月16日・ベネズエラ戦(△1-1)=吉田、冨安
11月20日・キルギス戦(○4-0)=槙野、三浦
この5試合に、冨安がボランチで出たアジア杯トルクメニスタン戦で吉田と槙野がコンビを組んだケースを加えると、総計5パターンの組み合わせ。指揮官はその中から最高と思えるコンビをチョイスし、それが吉田と冨安という組み合わせだった。
2列目トリオに隠れたデビュー。
森保監督から受ける信頼感と期待感が非常に高いことは、準決勝までのプレータイムが23選手中最も長いことにも出ている。ここまでの全6試合に出場(5試合は先発フル出場)しているのは冨安と原口だけ。
また、今大会でセンターバックとして先発した試合では無失点を誇る。天賦の才である「高さ」は攻撃面でも生かされ、決勝トーナメント1回戦サウジアラビア戦(1-0)ではセットプレーで決勝点を決めた。
代表デビュー時はまだ19歳だった。昨年10月12日に新潟で行われた国際親善試合パナマ戦。試合前のミーティングで先発を告げられると、「緊張かどうかも分からないくらい、頭がボーッとなった」という。しかし「試合が始まってからは意外と身体が動いて、すんなり入れた」と振り返ったように、落ち着いたプレーに終始した。
'18年中はきらびやかに躍動する若き2列目トリオ(中島翔哉、南野拓実、堂安律)に話題が集中していたが、冨安が残したインパクトは静かながら確かなものがあった。