サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
覚醒を迎えた冨安と吉田が揃えば、
ロングボール戦術はもう怖くない!?
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byTakuya Sugiyama
posted2019/02/01 07:00
188cmの長身で空中戦を制する冨安。21日のサウジアラビア戦では決勝点となるゴールをヘディングで決めた。
吉田も冨安の成熟度を絶賛。
そして、今回のアジア杯イラン戦である。日本代表デビューを果たしてから間もない頃は、吉田も「まだフレンドリーマッチなので難しい局面はないが、楽しみな選手の1人」と言うのにとどめていたが、イラン戦の後にはこう言った。
「(冨安は)難しいボールの処理がうまいし、そつのないプレーができる。センターバックとして経験を重ねないとできないようなことを20歳でできているのがすごい。25~26歳の選手のようなプレーをしている」
心技体や経験値で日本代表史上最高DFと言えるベテランは、20歳に舌を巻いていた。
相手の戦術的選択肢を削る。
アジアカップという舞台で冨安が示しているプレーには、副次的な意味合いもある。これまで主に中東勢が使ってきたロングボール戦法を出しにくくなるという効果が期待できるからだ。
また、冨安という、とびきりの高さを持つ選手が加わることで、パワープレーへの対応力も格段に上がることが期待できる。これにより、これまで中東勢の多くが駆使してきたロングボール戦術は、吉田の横に冨安が入ることによって効果が期待できない状況になった。
日本は6大会連続でワールドカップに出場しているが、アジア予選を毎回楽に勝ってきたわけではない。過去の歴史を見て、ときに取りこぼしもありながらの予選通過であったことを振り返れば、相手の戦術的選択肢をひとつ減らすことのメリットは大きい。
性格については、「ポジティブなタイプじゃなく、ネガティブになりがち」と自分を分析する冨安。
「でも、やられても立ち上がってやらないといけないし、それがあってこそ成長できていると思いたい。引きずらず、くじけず、やり続けることが大事ですね」
中東の地でベールを脱いだ20歳は、気持ちもどんどん強くなっているようだ。