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風雲急を告げるプレミアCL争い。
ロンドン勢の不安とマンUの逆襲。
posted2019/01/27 08:00
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph by
Uniphoto press
今シーズンのプレミアリーグはリバプールとマンチェスター・シティのマッチレースだが、チャンピオンズリーグの出場権を巡る3、4位争いが急速に熱を帯びてきた。
トッテナム、チェルシー、アーセナルという1カ月前までの序列が、マンチェスター・ユナイテッドの急激な復調によって明らかに変わった。第23節終了時点でこの4チームが7ポイント差にひしめき合い、そしてロンドンを本拠地とする3チームには、少なからぬ問題が続出している。
トッテナムは緊急事態だ。ハリー・ケインが第22節のユナイテッド戦で左足首を痛め、全治およそ6週間。また、ソン・フンミンがアジアカップの韓国代表に合流し、仮に決勝まで進出すると、トッテナムに戻れるのは2月10日のレスター戦あたりだろうか。
さらに、第23節のフルハム戦でデル・アリが左ハムストリングに違和感を訴え、3月上旬まで戦列を離れるという。
前線の核となる3選手を欠いたのだから、ダメージが小さいはずはない。なにしろケインとソンは、トッテナムが挙げた全48得点の46%に絡んでいる。
ケイン、ソン、アリが不在。
冬の市場で即戦力が補強できる確率は低く、フェルナンド・ジョレンテは空中戦こそ強いが、動きそのものは緩慢だ。ソンの欠場が短期間で終わるとはいえ、ケインとアリがいない間、トッテナムは勝点をロスする危険度が高い。彼らのプランは大きく狂った。
0-2の辛酸を舐めたアーセナル戦(第23節)終了後、チェルシーのマウリツィオ・サッリ監督は「すべて精神力の問題」と敗因を選手たちに押しつけた。
トッテナム戦やウォルバーハンプトン戦でも、「勝利に対する渇望の違い」と内面の脆さを指摘している。しかし、一軍の将であれば選手たちのコンディションをつぶさにチェックしなければならず、今回の発言は責任転嫁と取られても不思議ではない。
ましてチェルシーは、ロッカールームが非常に敏感だ。サッリの発言に嫌気が差し、モチベーションが一気に下がる恐れもある。ジョゼ・モウリーニョもアントニオ・コンテも、アプローチを失敗して監督の座を追われている。サッリも、同じ間違いを犯したのではないだろうか。チャンピオンズリーグの出場権を失った場合、彼は間違いなく解雇される。