サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
森保Jの“ワーストマッチ”は吉兆。
アジア杯は初戦が悪いと優勝する?
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2019/01/10 12:00
難しい初戦。チームを救ったのはやはり大迫勇也らW杯経験者だった。
大迫の2つのゴールを生んだもの。
1点ビハインドで迎えた後半は、立ち上がりからタテパスやサイドチェンジを多用する。ピッチの横幅と奥行きを活用することで、5バックの間隔をようやく広げられるようになっていく。
56分の同点弾は分かりやすい。中島に代わって2列目の左サイドで起用された原口元気が、タッチライン際からカットインしてグラウンダーのパスをゴール前へ通す。前半に比べてスペースを持てた大迫勇也は、トラップからフィニッシュへ冷静につなげてネットを揺らした。
4分後の追加点は、センターバックの吉田のタテパスがきっかけとなった。左サイドの原口がヘディングでペナルティエリア内左へ落とすと、後方からサポートした長友佑都が相手DFとGKの間に身体をすべり込ませてボールをつなぐ。GKが飛び出した無人のゴールへ、大迫が右足で押し込んだ。
3-1で終わらせることができれば……。
わずか4分間での逆転劇には、原口、大迫、長友、吉田が直接的に絡んでいる。経験者たちが苦境を救ったわけで、それこそが彼らの存在意義でもある。
一方で、チームに勢いをもたらすにはフレッシュな力の躍動が求められる。その意味で、71分の追加点は価値がある。
柴崎岳のタテパスを起点に大迫、南野拓実とパスがつながり、ペナルティエリア内の堂安律にボールがわたる。繊細なタッチとともに身体を反転させた20歳は、得意の左足でゴールネットを揺らした。
このまま3-1で試合を締めることができていれば、後半の巻き返しに多少なりとも及第点をつけることはできた。ところが79分、南野に代わって出場した北川航也がハーフライン付近でボールを失い、1本のスルーパスから相手FWに抜け出されてしまう。
1対1のシーンでGK権田にできることは少ない。相手FWを倒してPKに望みをつなげたものの、2失点目を喫してしまった。