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森保Jの“ワーストマッチ”は吉兆。
アジア杯は初戦が悪いと優勝する?
posted2019/01/10 12:00
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Getty Images
森保一監督の就任後では、ワーストマッチと言っていい。1月9日に行われたアジアカップのグループリーグ初戦は、前途多難を予感させるスタートとなった。格下のトルクメニスタンに、日本は3-2で辛うじて勝利したのである。
国際大会の初戦が難しいのは、共通理解となっていたはずだ。前回優勝のオーストラリアが、ヨルダンに0-1で敗れた。東南アジアを牽引するタイが、アウトサイダーと目されていたインドに1-4で大敗した。韓国がフィリピンに苦しみ、1-0で何とか勝利した。初戦からポテンシャルを爆発させたのは、イエメンを5-0で一蹴したイランぐらいである。
グループステージ第1戦の最終日に登場した日本は、FIFAランキングの差がそのままスコアに反映されないことを目の当たりにしている。前日会見に臨んだ森保監督と主将の吉田麻也も、オーストラリアや韓国の戦いぶりに触れて警戒心を強めた。「どの対戦国も力があるからここにきている」と、指揮官は話した。
それがどうだろう。大会の序盤を覆う負の連鎖に、危うく呑み込まれるところだった。
最大の原因は、精神的な油断。
前半は評価できるところが何ひとつない。
ボールを大切にする、自分たちの持ち味を生かして崩す、といった意識が横パスやバックパスにつながり、攻撃の矢印が前へ向かないのだ。5バックで待ち構える相手守備陣のバランスを乱すような仕掛けは見当たらず、足元へのパス交換ばかりでボール際の攻防に弱いのだから、攻撃のリズムが生まれるはずもない。タテや斜めへ攻撃のベクトルを向ける中島翔哉の不在が、大会初戦にしてチームの攻撃に影を落としていく。
攻め切った末に攻守が入れ替わるのではなく、ビルドアップでボールをロストする回数も増えていき、カウンターに活路を求めるトルクメニスタンに慌てさせられてしまう。その結果が26分の失点だった。
スーパーなミドルシュートを叩きこまれたとはいえ、それ以前にもシンプルなタテパスから決定機を許していた。ボールの失い方は悪く、攻撃時のリスクマネジメントはあいまいだったが、ビハインドを背負うことになった最大の原因は「やられるはずがないだろう」との精神的な油断にほかならなかった。
さらに言えば、0-1とリードされた36分にも決定的なシュートを許している。GK権田修一の好守がなければ、この時点で致命傷を負いかねなかった。