福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
“福西崇史監督”が明かす就任経緯。
「現役復帰で悔しさを味わったから」
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph bySatoshi Shigeno
posted2019/01/09 17:00
期間限定で選手復帰した福西崇史は、一回り若い選手に当たり負けしない場面も。今年は指導者としての第一歩を踏み出す。
プロとは違う練習環境で。
試合以外でもアマチュアクラブは、プロと違う面が色々とあるなと感じました。選手1人ひとりのモチベーションに強いものを感じる一方で、昼間は仕事をして、夜の限られた時間で練習する環境でした。
ちなみにグラウンドも女子チームと併用して使ったり、終了時間が来たら照明が落ちて「あっ、もう終わりなんだ!」って思うことがよくありましたからね。
何より選手それぞれが仕事しながらの活動だから、練習に参加できないケースもあります。自分を含めてですが、全員でそろってトレーニングする機会がなかなか得られない。その辺りが戦い方を落とし込む難しさだと体感しました。
自分自身プロでやり続けてきましたが、プロの考え方だけでもダメだし、アマチュアの考え方だけでも強くはならない。そこを上手くかみ合わせていかないと、Jリーグ以外の舞台でも簡単には勝てないと痛感しました。
監督就任の決め手は悔しさ。
南葛SCから監督就任のオファーがあったのは12月でした。現役復帰してみて、身体の調子が良ければ一緒にトレーニングすることはできても、コンディション面を考えて1シーズン通じて選手という立場は難しいのかな、と感じてました。その一方で指導者として何か貢献できないか、という思いも持っていました。
監督を引き受ける決断まで、少し期間を設けました。指導者のキャリアとして自分はどう歩むべきか、その中でどこでスタートを切るべきなのか。コーチか、育成組織やアカデミーなのか、それともいきなりJクラブなのか……色々な選択肢を頭に浮かべて、決め手になったのは、南葛SCというクラブでプレーしたこと、そして「悔しさ」でした。
東邦戦後、選手たちやスタッフの顔を見たとき、本当に悔しそうな表情を浮かべていました。自分と同じ気持ちを抱えているんだなと思ったし、スタッフとピッチサイドで「これからどう臨んでいけば、クラブとして成長していけるのか」という話し合いもしました。彼らの行動1つひとつに気持ちを感じたし、その悔しさを晴らすのは南葛でしかできない、と。