福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
“福西崇史監督”が明かす就任経緯。
「現役復帰で悔しさを味わったから」
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph bySatoshi Shigeno
posted2019/01/09 17:00
期間限定で選手復帰した福西崇史は、一回り若い選手に当たり負けしない場面も。今年は指導者としての第一歩を踏み出す。
初戦から感じた難しさとは。
初戦(vs.与野蹴魂会)は2-0で勝利して、自分も先発して後半途中までプレーしました。観客の前でプレーできる嬉しさがある一方で、自分のプレーには満足していなかったし、そして試合内容としても快勝とは感じていませんでした。
実は大会前からクラブスタッフから「関東社会人大会というトーナメントになると、やはり勝ちたい気持ちが出過ぎてしまって、練習でやってきたことがなかなか出せなくなる」という話を聞いていました。実際、ピッチに立ってプレーしてみると、「ああ、言っていたことはそういうことなんだな」と実感しました。
負けたら終わりのトーナメント戦なので、とにかく両チームともボールを前線に蹴り合ってしまう。中盤でボールを落ち着かせたり、緩急をつけたり……という展開に持ち込めなかったんですよね。
苦しい状況をどう変えるか。
2試合目(vs.東邦チタニウム)は序盤に先制点を許しました。そこからチームは早く同点ゴールが欲しいという焦りが出て、前に急ぎ過ぎる。流れの悪い時間帯が続きました。
この状況を少しでも変えられるとしたら……とピッチ内で考えていました。たとえば自分がボールを持った時にすぐボールを離さず、相手の守備がかなり寄せてきてからパスを送るようにしました。相手が自分に食いつくことで、味方にスペースを少しでも与えられれば、と。パスは相手を崩すための手段という意識をチームに見せたかったですから。
ただ、結果は0-1で敗戦。勝利、そして関東リーグ昇格に貢献できなかったのはやっぱり悔しかったです。
南葛SCにはJリーグを経験した選手だけでなく、ブラジル人選手もいます。練習で一緒にやってみると、イメージ通りのところにパスを出すなど、技術面は大丈夫だなと感じていました。
それと同時に、彼らは「なんとか結果を残さなきゃ」という思いがとても強い。その分だけ、どんどんボールを早めに欲しがる流れになってしまい、攻撃が単調になってしまう。気持ちに折り合いがつけきれず、練習でやってきたことが出し切れなかったのかな、と。