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内田篤人と昌子源、クラブ関係者が
クラブW杯で感じた鹿島と世界の差。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byAFLO
posted2018/12/25 12:00
レアル戦以上にリーベル戦の大敗は鹿島にとって屈辱だったかもしれない。しかしこれをバネにしてこそ常勝軍団だ。
黒子らの力も凄かった。
そんな気づきは、クラブを支える黒子たちにもあった。
「2度目の対戦ということで、1度目には見えなかった様々なものが見えた」
鹿島クラブ関係者は語った。もちろん世界10指に入るビッグクラブの予算規模は大きい。それはピッチに立つ選手の顔ぶれを見ても歴然としている。
しかし、それ以上に選手を支えるメディカルやメディアなど、黒子の存在の大きさを改めて痛感したということなのかもしれない。真剣勝負の舞台だからこそ、チームスタッフらの仕事、舞台裏を目の当たりにする機会は多いはずだ。
視察へ行っただけでは見られない働きぶりを、対戦相手だからこそうかがい知れる。世界を知るのはピッチに立った選手たちだけでも、ベンチに座る指揮官だけでもない。クラブを運営する人間にとっても、世界を間近に体験できる。それがクラブW杯だった。
「2年前戦って、みんなが『行けるな』と思っていたとしたら、大間違い。W杯みたいじゃん。南アフリカ行って、行けるなと思ってブラジルで、ボン! でも、それはやらなくちゃわからないからね」
W杯を例に出して語ったのは、内田だった。ベスト16進出を果たした南アフリカ大会。しかし、4年後のブラジル大会ではグループリーグで惨敗した。この事実だけをとっても、内田の言う「歴史」の重さを痛感せざるを得ない。代表でもクラブでも日本は同じことを繰り返しただけなのかもしれない。
クラブの土台を世界基準に。
代表チームが戦うW杯は、世界の頂点を決める戦いだ。しかし短期決戦のため、出場チームの多くは即席チームでもある。だからこそ、より個の能力や即興性、国の土台が問われる大会だとも言える。
かたやクラブW杯は、常設チームの戦いである。チームの組織力が大きな差として現れるのだ。そして、チームを形成するためのクラブの総合力も示される。
どこでプレーするかは選手の自由だし、この大会を機に欧州のクラブへ挑戦したいという選手が出てくるのも納得はできる。
しかし、同時に「日本サッカー界」という眼で見たとき、選手の流出を嘆く前に、クラブとしての土台を世界基準にすることは急務だと感じる。
それはトッププレーヤーを加入させるだけで築けるものでもないし、指導者を短期的に招聘しただけでは解決できないことだとも感じる。南米の名門クラブも欧州への選手供給源となっているが、それでも彼らには変わらない格がある。