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内田篤人と昌子源、クラブ関係者が
クラブW杯で感じた鹿島と世界の差。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byAFLO
posted2018/12/25 12:00
レアル戦以上にリーベル戦の大敗は鹿島にとって屈辱だったかもしれない。しかしこれをバネにしてこそ常勝軍団だ。
昌子が話したトップへの意欲。
負傷のため、3位決定戦に出場できなかった昌子源もこう言う。
「言い方は悪くなるかもしれないけど、世界の10番目、20番目の相手を知るより、いきなりトップを知るというのはいいことだと僕は思う。この大会のトップチームは本気ではなかったかもしれないけれど、トップを知ったからこそ、そのトップを目指していける。
中くらいのチームに勝ったとしても、まだ上にある場所は未知のままだから。トップとの差を少しでも埋めることができて、初めて向こうは1秒目から本気になってくれるかもしれない。そういうふうにやっていきたいと思う。そのためにも環境を含めて、チーム全体を変えていく必要があるんじゃないか。
もちろんJリーグではアントラーズが強いし、常勝軍団ということで新しい子が入る。2年目の(安部)裕葵がこうやって堂々とプレーできるのは、鹿島だから。ただそれは、あくまでも日本での話。これが仮に裕葵とか僕とか、誰かがレアルで1年間練習をしたら、絶対にもっとうまくなる。鹿島ではBチームで紅白戦を戦っているだけでうまくなれると言うけど、それをアジア基準から世界基準へとどんどん上げていく必要がある。
鹿島もアジアを獲ったけど、初めてじゃないですか? 次から連覇だったり、2回、3回とアジアを獲って、鹿島で練習したらアジアで勝てるというようになっていかなくちゃいけない」
レアル相手に味わった絶望感。
昌子自身も鹿島で成長したひとりだ。しかし、日本代表として戦ったW杯も今回のクラブW杯でも「通用しなかった」という想いが強いという。
「世界のレベルを知って、レアルとやって絶望感を味わって、そうやって強くなっていく。やっぱり、鹿島にいる選手が数多くW杯を戦えば、自然と目線は世界に向かうだろうし、そうやってチームとしての基準を上げていく必要がある。そのうえで大事なのが環境ですよね。そういう練習からの雰囲気もそうだし、もしかしたら施設などにも関係していく話かもしれない。
トレーニング施設にしても、25年前はJリーグでも群を抜いている、画期的な施設を持っていた。でも、他のクラブも新しい施設を作ったと聞くからね。伝統というのを大事にしていくのと同時に、変化していくことも大事だと思う。選手もクラブの雰囲気も、施設も、あらゆることすべてを日本のレベルに合わせる必要はないと思う」