酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
規定投球回数はもう時代遅れ?
12球団で到達者はたったの17人。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2018/12/05 17:00
2年連続の沢村賞に選出された菅野智之。PR指標で見てもやはり巨人のエースたる数字を残した。
規定投球回に達する投手が減少。
しかし、近年、この規定投球回数という数字が、揺れている。この投球回数に達する投手がどんどん減っているのだ。
<過去10年の両リーグの規定投球回数到達者>
2009年:セ17人、パ17人
2010年:セ12人、パ16人
2011年:セ16人、パ17人
2012年:セ20人、パ13人
2013年:セ17人、パ12人
2014年:セ15人、パ13人
2015年:セ14人、パ12人
2016年:セ12人、パ14人
2017年:セ12人、パ13人
2018年:セ8人、パ9人
(規定投球回数は2014年まで144回、2015年からは143回)
規定投球回数というのは、本来は先発投手としての最低限の責任投球回数だったはずだ。
しかし9年前、両リーグあわせて34人いた規定投球回数以上の投手は、4年前には28人になり、今年ついに17人にまで減ってしまった。
今年の日本一であるソフトバンクは、千賀滉大の141回が最高。誰も規定投球回数に達しなかったほどだ。これまでも規定投球回数の到達者「0」というチームは散見されたが、多くは先発投手陣が崩壊した下位チームだ。リーグ2位とは言え、6割近い勝率を挙げた強いチームで、だれも防御率ランキングに名前が載らないのは異例のことではあった。
各球団エースのMLB移籍も大きい。
なぜ、規定投球回数に達する投手が減少したのか?
1つは、先発完投型の典型的なエースが、近年、次々にMLBに移籍したことが大きい。
2012年のダルビッシュ有、2014年の田中将大、2016年の前田健太、2018年の大谷翔平と、良い先発投手はみんなMLBに行く。なお今オフも西武の菊池雄星がMLBに挑戦する。
今、先発完投型の大エースと言えるのは巨人の菅野智之くらいしかいない。いわゆる人材流出が一因なのは間違いないところだろう。