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コラボしたピアニスト清塚信也が称賛。
羽生結弦の才能とカッコいい生き方。

posted2018/11/27 15:30

 
コラボしたピアニスト清塚信也が称賛。羽生結弦の才能とカッコいい生き方。<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

アイスショー「ファンタジー・オン・アイス2018」で『春よ、来い』を演じる羽生結弦。

text by

熊谷未希(Number編集部)

熊谷未希(Number編集部)Miki Kumagai

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photograph by

Yukihito Taguchi

 羽生結弦が五輪2連覇という偉業を達成して迎えた春のアイスショーシーズン。

 昨年に引き続いて出演した「ファンタジー・オン・アイス2018」では、新たな境地に到達した王者の滑りで、観客を非日常の世界へと誘った。

 全国5都市をめぐるツアー後半の公演(神戸、新潟、静岡)で羽生が選んだプログラムは、『春よ、来い』。松任谷由実のポピュラーな曲だが、クラシック・ピアニスト清塚信也さんとともにアレンジを繰り返し、二人三脚で完成させたという。

 ピアノ生演奏のエモーショナルな音色にのせて、毎公演、その時々で印象の異なる美しい演技を披露し、話題を呼んだ。

「Number」のフィギュアスケート&体操特集(11月22日発売)では、羽生結弦とともにプログラムを作り上げたピアニスト清塚信也さんに取材(執筆:西澤千央)し、制作秘話などのエピソードを聞いた。詳しくは誌面をご覧いただければと思うのだが、そのインタビュー中、間近で感じたフィギュアスケーターとしての才能だけでなく、「彼は生き方が素晴らしいんです」と人間性を繰り返し絶賛したのが印象的だった。

生演奏のコラボは想像以上に難しい。

 実は、生演奏とフィギュアスケートのコラボレーションは、観客の想像以上に難しいことらしく、「生演奏というのは、毎回同じ演奏にはなりません。フィギュアスケートというのは、そのほんの少しの音のズレがジャンプなどのタイミングに影響してしまうシビアな世界です」と語ってくれた。

 だから、「CDをかけたほうがミスが少なく安全だし、演出しやすい」。それでも、アイスショーで生演奏とのコラボレーションを選ぶ姿勢が素晴らしいのだという。

「まず、守りに入らず、こういう難しいことに挑戦しようという価値観を持っていないとできないことですよね。普通は、リスクをとらずに自分の演技のことだけ集中して考えたいじゃないですか。でも、羽生選手には、このコラボレーションでしか築けないものがあるんだ、この経験からお互い何か掴み取ろうよという姿勢がある」

【次ページ】 「どういうふうにカッコよく生きていくか」

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