“Mr.ドラフト”の野球日記BACK NUMBER
10年前のドラフトから考える広島。
優勝は分離ドラフトのおかげ!?
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byKyodo News
posted2018/10/07 11:30
今季は10試合の出場に留まっている岩本貴裕(10月3日現在)。日本一へ……復活をかけた選手個人の戦いはまだ続いている。
分離ドラフト時代に現在の礎を作った。
広島は、'05年に梵英心(大社ドラフト3巡)、'06年に前田健太(高校生ドラフト1巡)、會澤翼(高校生ドラフト3巡)、'07年に安部友裕(高校生ドラフト1巡)、丸佳浩(高校生ドラフト3巡)、松山竜平(大社ドラフト4巡)らを、この分離ドラフトの期間に獲得して、その後のカープの骨格を作れた。
統一ドラフトに改められた'08年のドラフトで指名したのは、1位の岩本貴裕(外野手・亜細亜大学)、そして2位以下として、中田廉(投手・広陵高校)、小松剛(投手・法政大学)、申成鉉(内野手・京都国際高校)である。
岩本、中田が10年後の現在もプレーしているが、私がプロ野球選手の成功ラインと考えるのは以下の基準である。
・投手……300試合登板、50勝(1セーブ、1ホールドは0.5勝に換算)
・野手……1000試合出場、500安打。
そういう意味では、この選手たちの中にこの基準をクリアした選手は誰もいない。
惜しいのは岩本だ。
岩本が'10~'12年までの3年間で打ったヒットは159本。飛躍をかけた'13年に1学年上でタイプが似ている松山竜平がキャリアハイとなる105安打を放ち、立場が入れ替わってしまった。
“隔年投手”の実力は見極めにくい。
そして2位の中田は、'14年と'17年に50試合以上に登板している。
'14年 66試合 9勝8敗18ホールド、防御率3.89
'17年 53試合 2勝4敗13ホールド、防御率2.70
この成績が継続すればいいのだが、いい年と悪い年が交互にやってくる“隔年投手”でその実力の正確な計算ができない。
現在、登板数が202なので成功ラインまであとわずかだ。今季28歳だから、まだ投手としての余命は十分にある。その可能性に賭けたいところである。