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10.8前夜の特濃ミスター伝説。
槙原・斎藤・桑田の証言がバラバラ?

posted2018/10/07 11:00

 
10.8前夜の特濃ミスター伝説。槙原・斎藤・桑田の証言がバラバラ?<Number Web> photograph by Koji Asakura

伝説の夜、10.8のマウンドで勝利を喜ぶ桑田真澄。日本球史で永遠に語り継がれる試合となった。

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中溝康隆

中溝康隆Yasutaka Nakamizo

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Koji Asakura

「今年はジャイアンツが優勝できませんでしたので、後半の景気がかなり落ち込むと思われます」

 '90年代に放送された人気テレビドラマ『ラブジェネレーション』の中で、木村拓哉と松たか子が働く広告代理店の中で交わされた会話である。一応断っておくと、ギャグではなくガチの会議シーンでの台詞だ。

 かつてニッポンには「巨人が優勝できないと日本の景気が悪くなる」とまで言われていた時代があった。その象徴が24年前のあの“国民的行事”だ。1994年10月8日の中日対巨人戦。シーズン最終戦、同率首位の勝った方が優勝という子どもでも理解できる大一番である。

 もちろんスマホもネットもないあの頃、結果を知りたければテレビで見る。もしくは「radiko」アプリもないので、ラジオならリアルタイムで聴く。今となっては信じられないことだが、打率や防御率の個人成績も翌朝のスポーツ新聞で確認するしか方法がなかった。

 例えば'94年ジャイアンツ優勝記念号の雑誌裏広告は三洋電機の“テ・ブ・ラ・コードるす”で、「電話しながらホカのコト。」のコピーが確認できる。携帯電話以前に、家の電話をコードレスにという時代だった。クラスメートの女の子に電話するときは、家族に聞かれないようにテレホンカード片手に家の近くの電話ボックスまでダッシュ。途中の自販機で買うのはなぜかデカビタC。そんな汗だくの青春を送った人も多いのではないだろうか。

驚異の視聴率48.8%!

 さて、24年前の10月8日中日対巨人戦のテレビ中継は平均視聴率「48.8%」を記録。ちなみに2018年サッカーロシアW杯の日本対コロンビアの視聴率は48.7%である。つまり、あの頃の巨人戦は世間的にサッカーW杯の日本代表クラスの注目を集めていたわけだ。

 なお、10.8決戦は2010年に日本野球機構が現役の監督、コーチ、選手858人を対象に行ったアンケートで、「最高の試合」部門の1位に選ばれた。

 なにせ、この大一番に先発した巨人・槙原寛己は引退後に発売した自著に『プロ野球 視聴率48.8%のベンチ裏』(ポプラ社)とそのまんまのタイトルをつけ、あの夜のこともたっぷり振り返っている。

【次ページ】 「おぉ、槙原。明日は先発で頼む」

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