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鳥取・須藤大輔監督が貫く「俺流」。
初の師弟対決と終わらぬ“感想戦”。
text by
渡辺功Isao Watanabe
photograph byJ.LEAGUE
posted2018/09/28 08:00
Jリーグクラブの監督という狭き門を異例の形でくぐった須藤大輔。この千載一遇の機会を失う手はない。
昔からの教え子は「見ての通り、熱い人です」。
監督就任後、中断までの6試合ではチーム合計7得点だったのが、8月の中断が明けてからは、21節のSC相模原戦で7-0と圧勝したのを筆頭に、5試合で計18得点。1試合平均3.6得点と、「日本海の暴れん坊」とでも呼びたくなるほどのゴールラッシュだ。
9月22日、FC東京U-23をホームに迎えたゲームでも、その攻撃力は発揮された。開始4分、CB西山雄介が敵陣に攻め上がると迷いなくミドルシュート。濡れたピッチに弾んでスライス軌道に変化したボールが、相手GKの逆をつき先制点を奪う。前半終了間際にも、同じく西山が右CKを頭で合わせてリードを広げる。
今年7月にY.S.C.C横浜から途中加入した西山は、山梨学院大出身のプロ2年目。大学1、2年生のときには、山梨学院大のセカンドチームにあたる「ペガサス」を担当していた須藤のもとでプレーしていた。
「見ての通り、熱い人です。戦術どうこう以前に、やっぱりサッカーでは気持ちの部分がすごく大事なことだと思うので。トップに位置する人に、そこの支えがあるっていうのは、僕ら選手にとっての安心感になります。
プレーや技術の面は、選手がやることであって。(それ以外の)心の部分をコントロールしてもらっているのは、すごくありがたい。それはペガサスのときから、ずっと変わりませんね」
後半にはJ3得点ランキングトップのFWレオナルドが、前線を組むフェルナンジーニョ、加藤潤也との好連携で2点を追加。相手の反撃を振り切り、4-2で勝利した。
「鳥取はリスクに挑戦するプレーが多い」
じつは須藤とFC東京U-23の安間貴義監督とは、ヴァンフォーレ甲府のFWとコーチとして、2005年からの3年間、“同じ釜の飯を食った”間柄だ。
'07年に須藤がナビスコカップ(現ルヴァンカップ)の得点王を獲得した際には「その長身なら、ちょっと身体を動かすだけで大きなフェイントになる」との、安間からのアドバイスがあったという。この試合はいわば、初めての師弟対決でもあった。
「出足でミドルシュートを選択したところからもうかがえるように、鳥取はリスクに挑戦するプレーがすごく多い。その結果リーグ上位の得点数を誇っていて、前線に得点の獲れる選手が増えてきている。彼らを活かそうと、後ろの選手がリスクにチャレンジしている結果だと思います。
そういう状況をしっかりつくっている大輔は、やっぱり元センターフォワードだと思いますし、点を獲るところから逆算してゲームをつくっていると感じました」(安間監督)