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「6年前、23歳のショウヘイとは違う…」エンゼルス1年目の大谷翔平を知る、ドジャース三塁コーチが独占告白「感情を出すショウヘイが大好きなんだ」
posted2024/09/30 17:13
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
AFLO
ドジャースは9月26日、ホームでのパドレス戦で勝って3年連続地区優勝を決めた。この日も同点の7回に決勝タイムリーを放ったのは大谷翔平(30歳)。9月19日以降では43打数27安打というとてつもない猛打をみせた大谷は、故障者も多かったチームでラストスパートの立役者となった。
新天地への移籍1年目で前人未到の「50-50」を成し遂げ、三冠王にも限りなく近づいたその大活躍は驚異としか言いようがない。特に今季は走塁面の向上が目立ち、イチローが持っていた日本人選手のシーズン最多盗塁記録を更新し、59盗塁まで伸ばした。“球界のユニコーン”は、より完成されたプレイヤーに成長した印象がある。
その縦横無尽の働きに、ドジャースの三塁コーチを務めたディノ・エベル(58歳)も感心させられたようだ。大谷のメジャーでの1年目にあたる2018年にはエンゼルスでも三塁コーチを務めたエベルは、その成長過程をよく知る人物の1人。落ち着いた語り口が印象的なエベルコーチに、今季の大谷のベースランニングの進歩、人間としての成熟ぶりなどをじっくりと振り返ってもらった。
(以下、エベル三塁コーチの1人語りです)
◆◆◆
今季の翔平が大きく盗塁数を増やした背景には、走塁面の確実な技術向上があったように思う。具体的には相手の投球モーションを読み、いいスタートが切れるようになったということ。その点でクレイトン(・マッカラー一塁コーチ)が多くのビデオを見てサポートしていることが、翔平の大きな助けになっているとも思う。
シーズン途中から盗塁が急増したが、翔平が“ベース・スティーラー”としての自信をつけたことも大きかったんじゃないかな。相手投手の球速やモーションを知り、捕手についても学んでいった。成功を重ねることで、盗塁に対する手応えを得て、その形でもチームを助けられると気づいたに違いない。
「ショウヘイはターンが上手くなった」「距離ロスがない」
盗塁数増加の一因として、牽制球の数を制限し、ベースのサイズを大きくした2年前のMLBのルール変更が効いているのは間違いない。翔平もおかげでより大きなリードが取れるようになった。それももちろんプロセスのうちだが、翔平に関しては“いつでも盗塁できる”という自信をつけたのが何よりも大きいというのが私の意見だ。