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大谷翔平59盗塁の成功率「.937」メジャー100年超で“実は史上2位”…成績を詳細分析すると面白い傾向だらけ。ただ古巣エンゼルス相手には
posted2024/10/05 17:21
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Nanae Suzuki
50-50をはるかに超えたものすごい成績でフィニッシュした大谷翔平。ここは「盗塁」にズームしてみよう。
日本でもエンゼルスでも“副次的”だった盗塁だが
〈大谷のプロ歴代盗塁成績〉
2013年:4盗塁1死 率.800
2014年:1盗塁0死 率1.000
2015年:1盗塁0死 率1.000
2016年:7盗塁2死 率.778
2017年:0盗塁1死 率.000
NPB:13盗塁4死 率.765
2018年:10盗塁4死 率.714
2019年:12盗塁3死 率.800
2020年:7盗塁1死 率.875
2021年:26盗塁10死 率.722
2022年:11盗塁9死 率.550
2023年:20盗塁6死 率.769
2024年:59盗塁4死 率.937
MLB:145盗塁37死 率.797
NPB時代の大谷は成績を見る限り、盗塁にはあまり関心がない印象だった。実際、当時監督だった栗山英樹氏も日本ハム時代に盗塁を控えていた方針を、テレビ朝日の番組出演時に明かしている。盗塁成功率自体は高かったが、野手としてフル出場していなかったので企図数も少なかった。
MLBに来てからも盗塁は副次的ではあった。投手でもあったから、スライディングで手指をケガするリスクも考えて慎重だった。
7月以降から急増、成功率.937は100年の歴史で見ても
今季、盗塁数が急増したのは「投手・大谷翔平」を全休していることが大きいだろう。もっと言えば、大谷が「盗塁に本格的に興味を持った」のは、今年後半になってからなのが成績から見て取れる。
〈2024年、大谷の月別盗塁成績〉
3、4月:5盗塁0死 率1.000
5月:8盗塁0死 率1.000
6月:3盗塁2死 率.600
7月:12盗塁2死 率.857
8月:15盗塁0死 率1.000
9月:16盗塁0死 率1.000
大谷が「盗塁」を意識し始めたのは7月になってからで、7月からのわずか3カ月で43盗塁している。メディアはこの時期から「30-30」を報道し始めた。8月3日、自身出場108試合目で30-30を達成すると126試合目の8月23日には40-40を達成、それから1カ月足らず、150試合目の9月19日に50-50を達成した。
それにしても盗塁成功率.937はすごい数字だ。7月22日のジャイアンツ戦で捕手パトリック・ベイリーに二盗を阻止されてから、36回連続で盗塁を成功させてレギュラーシーズンを終えた。今季、30盗塁以上のア・ナ両リーグの選手の中では、ロイヤルズのマイケル・ガルシアの.949(37盗塁2死)に次いで高い。
この成功率は歴史的に見ても、非常に高い次元である。