“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
幼稚園、五輪、森保Jでまた一緒に。
室屋成が南野拓実への引け目を払拭。
posted2018/09/16 17:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
JFA/AFLO
幼稚園の頃から同い年の幼馴染で、地元のスタジアムで2人揃ってA代表としてピッチに立つ――。
森保ジャパンの初陣、日本vs.コスタリカで、南野拓実と室屋成は漫画のような物語を現実にした。この運命の巡り合わせは話題となり、2人の関係性は数多く報道された。
もちろん運命的な物語であることは間違いない。同い年でなおかつ幼い頃からサッカーをやっていたのだから。しかしこの舞台にたどり着くまで、2人の間には“優劣”が存在した。
同い年で同じ競技に取り組めば、優劣は必ず生じてしまうもの。ましてやそれが幼少期からの幼馴染であれば、その度合いは大きくなる。そして本気で上を目指し、全力で取り組めば、それがライバル心や向上心、反骨心を生み出す。
南野と室屋の関係性もまさにそれだった。
幼稚園の頃に出会った2人。
2人の出会いは幼稚園の頃。近所同士で2人の兄も幼なじみだから、南野と室屋は自然と仲良くなった。兄たちが熱中するサッカーについていき、弟の2人がボールを蹴り合う。性格は真逆で、負けん気が強く自分の想いを主張する南野に対し、大人しくて一歩引いた立ち位置の室屋。プレースタイルでも異なる個性を持っていた。
南野がずば抜けたボールコントロールとシュートセンス、そしてドリブルで何人もかわしてゴールを量産すれば、室屋は豊富な運動量でピッチを駆け回った。両者の能力は群を抜いていた。
しかし小学校、中学校と成長するにつれ、周りの目は南野に向けられた。
ゼッセル熊取FCに所属した小6の時、南野はエースストライカーとして攻撃の中心となり、室屋はボランチとして攻守のバランスを司った。
南野には多くのJクラブアカデミーから声がかかり、中学進学と同時にセレッソ大阪U-15に入団。一方、室屋はゼッセルのジュニアユースに進んだ。