サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
代表デビューから2年11カ月を経て。
初得点寸前、南野拓実が考えたこと。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images
posted2018/09/15 17:00
コスタリカ戦の南野拓実は攻撃面で幅広く関与した。その成長ぶりは、日本代表に新たな息吹を感じさせた。
「ゴールが近いなと感じていただけ」
前半39分に小林が胸で落としたボールに反応して、ペナルティエリアにさしかかるところからダイレクトで右足シュートを放ったシーンはその典型だ。後半12分の中島翔哉のクロスに頭で合わせたシーンもそうだった。
小林がニアサイドからファーサイドに流れ、それとクロスするように南野がファーからニアへ入り込んだ。そして、最後に南野はフェイントを1つ入れて相手のマークを外してヘディングシュートを放った。
「練習のときから悠くんとはそういうところを話し合っていました。一緒にやるのは今日が1試合目だったので、前半は(動きが重なっても)多少はしょうがないと感じながらでしたけど、悠くんは僕のポジションをしっかり見ながら動いてくれてるので、すごくやりやすかった」
チリ戦が中止になったことで組まれた紅白戦でも小林とコンビを組むなど、良いプレーをするために話し合う機会は十分にあった。それが試合で形になっていた。だから、2度の決定機を外した後にも、南野は手応えを得ていた。
「『外してしまっている』というイメージは全くなかったですね。ゴールが近いなと感じていただけです」
遠藤のパスを受ける瞬間に考えたこと。
そして、歓喜の瞬間は後半21分に訪れた。
ボランチの遠藤が左サイド深くまで入ってきた瞬間に南野が考えたことを、証言をもとにまとめると以下のようになる。
「自分のマークについている選手は、シュートを打とうとすれば足を出してブロックに来るだろう。そうなれば股があくから、そこを狙おう。DFの股を通したシュートは、相手のGKから見づらい。GKにとっては、セーブしづらいものになるはずだ……」
唯一予想と違ったのは、遠藤からのパスの質である。考えていた以上に扱いやすいボールが来た。それは自分のプレーに余裕を生んだ。時計回りに反転しながら左足でトラップしたあと、左足を素早く振り抜いたボールは、イメージ通りにDFの股を抜けてゴールネットに吸い込まれた。
南野のトラップからシュートまで持っていく能力は、日本人選手のなかでもトップクラスだ。遠藤からの良質のパスが来た時点でゴールは約束されていたのかもしれない。