サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
代表デビューから2年11カ月を経て。
初得点寸前、南野拓実が考えたこと。
posted2018/09/15 17:00
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Getty Images
新しい風が吹いた。そう感じさせる南野拓実のゴールだった。
コスタリカ戦でゴールを決めた後に左胸のエンブレムを何度も叩き、喜びを爆発させた彼はしかし、試合後には冷静に振り返っていった。
「まだまだ、足りないと思っています。僕自身も、全然満足していないです。攻撃のところでもっと起点になることもそうだし、ラストパスの本数はもっと増やせると思うし。でも初戦で大事だったのはわかりやすい結果を残すことであり、何よりもチームが勝つこと。その点に関しては良かったと思います」
胸のすくようなゴールを決めただけで満足しないのは、当然かもしれない。
2014年4月、ブラジルW杯のおよそ2カ月前のこと。当時のアルベルト・ザッケローニ監督から初めて代表に招集され、W杯予備登録メンバーにも19歳で選ばれている。若くして、その能力を評価されてきた選手である。
上手いだけの選手ならいくらでもいる。でも、気持ちを前面に出してゴールにこだわれる選手は限られている。南野はその素質を持った選手である。
チームメイトに要求を伝えるのは得意。
9月4日に札幌でチームに合流してから、9月11日のコスタリカ戦までの間に、ゴールを決めるために、チームの勝利をもたらすためにしっかりと準備をしてきた。
だからこそコスタリカ戦の前日、練習を終えた南野は力強く話した。
「みんなとはよく話し合えていると思います。自分としても要求するところは要求して、味方からの声もしっかり聞く。そういうコミュニケーションについては、僕は海外でやっているからすごく楽にできます。
例えば、自分と組んだ選手の特長を生かすためにはどうしたらいいか。自分から言うのは『このタイミングでボールを出してください』とか、『ここのスペースで顔を出すので……』というような話です。攻撃での距離感などは、今までの練習のなかですごくやりやすいと感じているので、それを試合で表現できればいいかなと思っています」