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長友佑都、車内から叫んだ15歳の春。
「絶対に革命を起こしてやる!」
posted2018/08/12 11:30
text by
占部哲也(東京中日スポーツ)Tetsuya Urabe
photograph by
Kyodo News
金髪の長友佑都を見たショックで、頭の片隅に置き忘れていたワードが突如蘇った。
2010年南アフリカW杯の直前。1歳年上の姉・麻歩さんが教えてくれた。東福岡高への進学が決まった16年前の春。愛媛県。空港に向かう前に西条市立西条北中学に立ち寄り、サッカー部の先生、仲間たちに別れを告げた。
車が動きだすと、15歳の少年は窓を開け、「革命」と叫んで旅立ったという。
「涙はなかった。強気でした。佑都は本当に何を目指しているのでしょうね。革命ですかね」
フフッと笑った麻歩さんの顔がフラッシュバックした。
ロシアW杯16強進出の光に隠れているが、長友が金髪にする前日、日本代表は暗闇の底にいた。6月8日のスイス戦は0-2で完敗。西野ジャパン誕生から2連敗。点差以上に内容も乏しく、混沌、混乱、疑心暗鬼の中にいた。
突然の“スーパーサイヤ人”変身。
3度目のW杯に臨む31歳の「おっさん」でも「過去2度のW杯の経験ももう当てにならない。僕の経験もどれだけ生かせるか。難しさを感じています」と悩みは深刻だった。お手上げ状態。それが、当時の西野ジャパンだった。
翌日はオフ。試合会場のスイスから事前キャンプ地のオーストリア・ゼーフェルトに戻り、本田圭佑を中心としたグループが和食を、長谷部誠のグループがイタリアンを食べに、街へ出かけた。これまでの長友なら盟友の本田や主将の長谷部と議論を交わしただろう。
しかし、この時はどちらの組にも加わらず宿舎に直行した。準備していた奥の手が自称「スーパーサイヤ人」「スーパーゴリラ」というド派手な髪型だった。
長友は吹っ切れた表情で言った。
「チームの雰囲気もあるけど、自分自身も変えたかった」