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長友佑都、車内から叫んだ15歳の春。
「絶対に革命を起こしてやる!」
text by
占部哲也(東京中日スポーツ)Tetsuya Urabe
photograph byKyodo News
posted2018/08/12 11:30
ピッチ内外、SNS上でも積極果敢な言動を見せる長友佑都。10代からのサッカー人生が、彼を駆り立てるのかもしれない。
あえて本田にも苦言を呈した理由。
実際に行動にも移した。アンタッチャブルとみられがちな本田にも、あえて公の場で苦言を呈した。
「自分自身を見ても、もっと攻守にやれることはいっぱいある。じゃあ圭佑なんかもまだまだ走らないといけないし、もっとミスを減らしてくれないとチームは勝てない。そう圭佑にも話しました。走れないと。そこにプラスして経験があるからチームがどんどん良くなっていく。経験だけで勝負はできない。そんな甘い世界じゃない」
代表デビュー時は中村俊輔の“弟子”であり、その後は本田の“補佐役”だった男が変わった。窮地で渦の中心に飛び込み、批判の矢面にも立った。
これは何か起きるかもしれない――。
「革命」の風をわずかながら感じた。そして、ピッチ上でチームを変えるために導き出した答えは「走り」。長友の最大の武器であり、原点でもある。
城福監督が見て笑った自己診断。
10年前の、これも春。プロ1年目にFC東京の城福浩監督(現サンフレッチェ広島監督)との面談があった。選手自身がドリブル、パスなどの項目を5段階で採点。五角形チャートにして自己申告した。城福監督は含み笑いをしながら初面談を述懐する。
「今ちゃん(今野泰幸)は全部1の小さな小さな五角形。自分自身を過小評価しすぎていて驚いた。佑都も全体の形は小さかったけど、走力のところだけ最高の5を突き抜けて飛び出していた。いびつな形でね(笑)。これも驚きだった。『走りならプロでも負けない』。ルーキーだけど自分の武器を分かっていたし、監督へのアピールもうまかった」
走りを“エンジン”に駆け上がったサッカー人生。プロ入り4年で名門インテル・ミラノまで一気に上り詰めた。苦しみ、体に刻んだ経験をいかすのは、あくまで走りが伴ってこそ。ロシアW杯の計4試合での総走行距離はチームトップとなる43.5kmを記録した。
有言実行。「したくもない」金髪にした“おっさん”は、チームも、自分自身のキャラも変えた。最も多くピッチを踏みしめ、泥でユニフォームを汚し、西野ジャパンをどん底から引っ張り上げた。
筆者は、長友こそ今大会のMVPだと思っている。