プロ野球亭日乗BACK NUMBER
坂本勇人とジーターに4つの共通点。
プレーはもちろんリーダー性も進化。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2018/06/05 08:00
童顔のルックスながら走攻守に優れ、キャプテンシーも身につけた。坂本勇人は今や巨人の大黒柱だ。
三遊間の打球への強さは12球団最強。
「三遊間の打球への強さは12球団でナンバー1です。特に捕球してから、ノーステップで一塁に送球できる体幹の強さは、打撃でも生きていると思います」
こう坂本の守備を評したのは井端弘和内野守備走塁コーチだ。
これがまずジーターとの共通点のその1だ。
ジーターの特徴の1つは三遊間の打球への強さだった。三塁寄りの深いポジションで打球に追いつき、そこからジャンピングスローで打者走者を刺す。ジーターの得意技だった。
交流戦が開幕した5月29日の日本ハム戦。6回に三遊間の深いところで打球に追いつくと、坂本はノーステップで一塁に送球して打者走者の中田翔内野手を刺した。坂本はジャンピングスローではなく、ほぼノーステップで強い送球ができるようになっている。
追いつくだけではない。そこから強い送球で一塁や二塁で走者を刺す。4月30日のヤクルト戦、5月20日のDeNA戦など、そういうアクロバティックなプレーを何度も見せて、スタンドのため息と拍手喝采を受けている。
体幹を鍛えた結果、右方向の打撃も成長。
そうしたプレーの背景にあるのが体幹の強さだ、というのが井端コーチの見立てだった。
「下半身はもちろんですけど、インナー(マッスル)のトレーニングを重点的にやっている」
本人がこう語るように、ここ数年は持病の腰痛予防もあり、徹底的に体幹を鍛えた。それが守備だけでなく、打撃面でも好結果を生み出す要因になっている。
その結果が出ているのが右方向への強い打球だった。
元々は天性とも言える内角打ちのセンスから、坂本の安打は左方向への打球がほとんどだった。しかし、ここ数年は右方向への打球に格段の進化を見せている。
そこがジーターとの共通点、その2である。