プロ野球亭日乗BACK NUMBER
坂本勇人とジーターに4つの共通点。
プレーはもちろんリーダー性も進化。
posted2018/06/05 08:00
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Kyodo News
「それ、誰ですか?」
10年前のやりとりを、今でも鮮明に覚えている。
2008年3月28日のヤクルトとの開幕戦。プロ入り2年目だった坂本勇人内野手は「8番・二塁」で、巨人では松井秀喜外野手以来となる10代での開幕スタメン入りを果たした。その試合で正遊撃手だった二岡智宏内野手が負傷。そのため翌日の2戦目からは「8番・遊撃」で先発出場を続けることになった。
結局、この年は二岡の復帰後もショートのポジションを譲らず、最終的には144試合にフル出場して打率2割5分7厘、8本塁打をマーク。その後の中心選手への、第一歩を踏み出した年となったわけだ。
当時の原監督が期待していたこと。
話はその年のシーズン中へと戻る。
当時の原辰徳監督から「必ず将来はチームを支える選手になる素材だし、巨人の歴史を背負える選手としてしっかり育てたい」という話を聞いた。そこで「巨人のジーターに育って欲しいですね」とニューヨーク・ヤンキースのレジェンドプレーヤーであるデレク・ジーター内野手を引き合いに出すと、原監督も我が意を得たりという表情で大きく頷いたのである。
そしてその話を本人にした。
「監督もジーターのような選手になって欲しいと思っているようだよ!」
その答えが冒頭の言葉だったのだ。
高卒2年目。当時の坂本は、あのデレク・ジーターを知らなかった。そのことにちょっとビックリしたことが忘れられず、筆者の記憶に鮮明に残った訳である。
その坂本が、本人が意識しているのか、それともしていないのかに関わらず、いま確実に「巨人のジーター」への道を歩んでいる。