プロ野球亭日乗BACK NUMBER
坂本勇人とジーターに4つの共通点。
プレーはもちろんリーダー性も進化。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2018/06/05 08:00
童顔のルックスながら走攻守に優れ、キャプテンシーも身につけた。坂本勇人は今や巨人の大黒柱だ。
日米の老舗球団で主将を務める自覚。
もともと野球への取り組みは真摯である。練習もよくするし、貪欲に技術や知識を追い求めて研究熱心でもある。
ただ、そこにチームの中での自分という意識が芽生えた。そのきっかけがキャプテン就任であり、原監督からかけられた言葉だったのでは、とその関係者は指摘する。
「キャプテンとしてもっと自覚を持たないといけない。練習に対する姿勢など僕らがちゃんと見せれば、(若手が)『僕らももっとやらないと』と思う。手本になる意識を持たなければいけない」
11シーズンぶりのBクラスに沈んだ昨シーズン後はリーダーを意識した言葉が目立つようになった。今季はチーム内での若手への世代交代が急激に進む中で、さらに主将というポジションを意識して、若い選手への叱咤激励、時には厳しい口調での言動が多くなっているのも確かだ。
ヤンキースも巨人も日米プロ野球の老舗球団である。長い歴史と伝統を誇り、その中で選手たちには厳しい自覚が求められる。それを坂本はグラウンドのプレーで、ベンチでの行動で、ロッカーでの発言で、率先垂範で示す。
まさにジーターのキャプテンシーも、そういうところにあった。
試合前には子供達とキャッチボール。
東京ドームの試合前。内野の守備練習が始まると、坂本はその輪から離れて三塁側のエキサイトシートの子供達とキャッチボールをするのが恒例となっている。言葉だけではない。自分のできるファンサービスを労を惜しまず、しかもわざとらしくもなく自然に実践できる。
まさにそういうところもジーターとの共通点なのである。
もちろん坂本が目指すのは、他の何者でもない坂本勇人だろう。ただ、ジーターを知らなかった少年が、無意識に名門球団の中で同じ道を歩んでいる――それは生え抜きのスターの必然の道なのかもしれない。
実力と人気を兼ね備え、そして女性関係の派手なゴシップでマスコミを賑わす。それもまさにジーターとの共通点のその4なのである。