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“△地獄”の松本山雅が反撃態勢。
長友を見出した「反町△」の発掘力。 

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木本新也

木本新也Shinya Kimoto

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photograph byJ.LEAGUE

posted2018/04/21 17:00

“△地獄”の松本山雅が反撃態勢。長友を見出した「反町△」の発掘力。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

テクニカルエリアで深謀遠慮の反町康治監督。彼のような指揮官の存在こそ、J2の奥深さを感じさせる。

若き日の長友、麻也を抜擢した眼力。

 自らが異色の経歴を歩んできたからか。アンダーカテゴリーの監督として、選手を発掘して伸ばす能力は出色だった。'07年に明大で頭角を現し始めた長友佑都(現ガラタサライ)の噂を聞き、関東大学リーグを直接視察。当時、明大の神川明彦監督が大学時代の1年後輩である反町ジャパンの江尻篤彦コーチに長友の存在を知らせたことがきっかけだった。

 反町監督は身体能力の高さに目を付けて即座に招集を決断。実際に手もとに置いてポテンシャルの高さを確認すると、当時のA代表の岡田武史監督に推薦して'08年5月24日のコートジボワール戦での国際Aマッチデビューを後押しした。

 北京五輪代表メンバー18人を決定する際はセンターバックの枠でアジア予選の主力だった青山直晃(現ムアントン)か、成長著しい吉田麻也(現サウサンプトン)のどちらを選ぶかでスタッフの意見が割れた。

 経験豊富な青山を推す声が強い中、反町監督は将来性を重視して吉田を選出した。

 その後、プレミアリーグで活躍するまで上り詰めたのは周知の事実だ。長年、日本代表の中心を担っている長友、吉田、本田圭佑(現パチューカ)、香川真司(現ドルトムント)、岡崎慎司(現レスター)らは北京五輪を経験した選手である。

 グループリーグ3戦全敗の屈辱をバネにしたのもさることながら、チーム発足時から「情熱と誇り」をスローガンに掲げた反町ジャパンで日の丸を背負う意味を叩き込まれたことも忘れてはならない。

サポーターからは「反町、男前!」。

 反町監督が松本山雅を率いて7年目。'15年にJ1の舞台を経験しているが、それ以外のシーズンはJ2に甘んじている。クラブの年間営業収入は約19億円。J2クラブでは上位に位置するが、J1クラブ平均の約36億円を大きく下回る。それでも反町監督は、限られた戦力の中でも若手を発掘して鍛え、現実的な戦い方で勝利をもぎ取る能力こそ真骨頂だ。

 4月9日の第9節ヴァンフォーレ甲府戦では、多彩なセットプレーでチャンスをつくり、その流れから41分にセルジーニョが先制ゴール。終盤は押し込まれる場面も多かったが、粘り強く守りきり、勝ち点3を獲得した。

 シーズン序盤こそ引き分け続きでスタートダッシュに失敗したが、ここにきてようやく松本山雅らしい勝負強さが戻りつつある。「反町、男前!」はサポーターからのお馴染みのコール。

 やはりこの指揮官には、「△地獄」よりも「反町△(反町さんカッケー)」のフレーズのほうが、よく似合う。

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