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ペトロヴィッチ流で自信を得た札幌。
短期間で人とチームを変えて4位。
posted2018/04/23 17:30
text by
熊崎敬Takashi Kumazaki
photograph by
Getty Images
埼玉スタジアムに3万9000人が詰めかけた“ミシャ・ダービー”は、互いに決め手を欠きスコアレスドローに終わった。
5年半浦和レッズを率い、今季から北海道コンサドーレ札幌を指揮する“ミシャ”ことペトロヴィッチ監督は、試合後「引き分けは妥当」と語った。
だが、試合が終わった瞬間、力強くガッツポーズしたところを見ると、引き分けでよかったというのが本音かもしれない。
実際、負けてもおかしくない試合だった。
浦和の足が止まった終盤は攻勢に出たが、2対10というコーナーキックの数が示すように、押し込まれる時間が長かった。私には、浦和の拙攻に救われた引き分けにも見える。
いずれにしろ札幌は現在4位。この時期の順位に大した意味はないが、降格回避に汲々としてきた従来とは違うシーズンになるかもしれない。
札幌は昨季、クラブ史上過去最高タイとなる11位でフィニッシュした。だがそれは、ジェイ獲得も含めた終盤戦のラストスパートが効いたからだ。8月あたりまでは、降格の危機と隣合わせだった。
だが今季の札幌は、昨年17試合かかった勝点15に早くも9試合で到達。結果だけでなく、内容でも敵を圧倒するゲームも見られる。
敵地の浦和戦でも「2-0、3-0で勝てた」。
札幌のなにが変わろうとしているのか。
試合後、3バックの左で奮闘した福森晃斗に話を聞いた。
「ゼロに抑えられたのは自信になりますが、ぼくらは攻撃的なスタイルなので、最後のちょっとしたズレがかなり出たのは反省しないといけないと思う」
引き分けで安堵しているかと思いきや、悔しそうな表情を見せたのが意外だった。「1-0で勝つ可能性があったということ?」と水を向けると、
「1-0どころか2-0、3-0で勝てたと思いますよ。自分たちのプレーに自信を持っているので、今日も勝点3しか狙っていなかった。ですから満足はできないですね」
敵地の浦和戦でも勝たなければ物足りない。こう思えるところが、いまの札幌の強さなのだろう。