フランス・フットボール通信BACK NUMBER
マンチェスターC、その狂気を称賛。
天文学的投資で作るDF陣と新理論。
posted2018/02/25 17:00
text by
フィリップ・オクレールPhilippe Auclair
photograph by
Richard Martin
『フランス・フットボール』誌2月6日発売号は、1月末で締め切られた冬のメルカート(移籍市場)を特集している。
この冬の目玉となったピエール・エメリク・オーバメヤン(ドルトムント→アーセナル)やラサナ・ディアッラ(アルジャジーラ→パリ・サンジェルマン)、オリビエ・ジルー(アーセナル→チェルシー)など12人の移籍の経緯や秘話を詳細に報じている。
ちなみに日本とヨーロッパの報道における最も大きな違いのひとつが移籍の取り上げ方である。
ヨーロッパでは移籍はオフシーズンの最大の話題であり、どのメディアも選手・監督の移動を徹底的に追いかけ、微に入り細をうがつようにして読者や視聴者に伝える。チームに誰が加わり、誰が去って行くかはサポーターにとって最大の関心事であるからだ。
FF誌の同じ号でフィリップ・オクレール記者がレポートしているのが、今季も大型補強を敢行したマンチェスター・シティである。
どうしてシティは、ディフェンスの補強にあれほどの金をかけているのか? ペップ・グアルディオラの戦略とコンセプトはどこにあるのか? オクレール記者が真相に迫った。
監修:田村修一
マンCはどこへ向かおうとしているのか?
ここ数年、チームの再構築、とりわけ守備の再構築のために、世界で最も金持ちクラブの監督であるペップ・グアルディオラは、天文学的な資金の投入を厭わなかった。
経済誌『フィナンシャル・タイムズ』のエキスパートたちの分析による、ヨーロッパのサッカークラブに関する興味深い図表がつい最近発表された。
それはここ10年間のヨーロッパのクラブにおける投資額と、各国のリーグで獲得した勝ち点に対する費用対効果を計算して、ヴィジュアル化したものだ。
ほとんどのクラブは……銀河のようにグラフの中央を横切る大きな帯のほぼ中央に納まっている(その図は有料コンテンツなので、ここでは表示できない)。
その帯は真ん中こそ大きく膨んではいるものの、ではそこが今日における欧州サッカーの平均を示していると言えるか、というとそうでもない。
図の左側(投資が少ない側)に位置するのは、サンダーランドのような結果の思わしくないクラブである。逆に右側(投資が多い側)には、ドルトムントやモナコのように高いパフォーマンスを発揮しているクラブが並んでいる。
ただひとつ、他のすべてのクラブとまったく異なる場所に位置するのが――マンチェスター・シティなのである。