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マンチェスターC、その狂気を称賛。
天文学的投資で作るDF陣と新理論。
text by
フィリップ・オクレールPhilippe Auclair
photograph byRichard Martin
posted2018/02/25 17:00
ディフェンスラインのストーンズとオタメンディ。それぞれ、60億とも70億とも言われるDF陣としては史上最高クラスの移籍金で加入した。
マンCを支えるのは会社ではなく「国」!?
グラフの右下(投資が多いのに勝ち点への費用対効果が低い集団)にいるマンチェスター・シティ。
2008年にUAE(アラブ首長国連邦)の「ADUG(アブダビ・ユナイテッド・グループ)」がクラブを所有するようになって以来、他のどのクラブよりも多くの資本を投下しながら、勝ち点1を獲得するための経済効率(対費用効果)は実はそれほど良くないのである。
まるで、シティだけが別の銀河系に所属しているように不自然な投資状況だが……『フィナンシャル・タイムズ』の分析は正しい。
なぜならば、実質的にマンチェスター・シティを保有するのは「ひとつの国家」だからである。
それは何ら杞憂を感じることなく、無限ともいえる規模で資本投下できることを意味する。
先日、世界的な会計事務所「デロイトトーマツグループ」が発表したデータによれば、世界第5位の金持ちクラブであるシティは、パリ・サンジェルマンと同様、経営規模において、当然のように規格外の規模を誇っていた。
その膨大な投資の結果としてシティが構築したのが、「世界サッカー史上最高額のディフェンスライン」だった。
天文学的な数字に達している投資額。
グアルディオラが理想とする5人(GKと4人のDF)は、エデルソン(4000万ユーロ)とカイル・ウォーカー(5115万ユーロ)、ジョン・ストーンズ(5560万ユーロ)、アイメリック・ラポルテ(6500万ユーロ)、ベンジャミン・メンディ(5520万ユーロ)だった。
ボーナス抜きで、獲得に要した額は最低でも2億6695万ユーロに達する。この18カ月でクラブが使った金額としては、天文学的であるといえる。
加えて控えのダニーロ(3000万ユーロ)とクラウディオ・ブラボ(1900万ユーロ)の獲得にもそれなりの出費を要し、さらにペップ就任以前に加入したニコラス・オタメンディ(4460万ユーロ)とエバートンにレンタルで貸し出したエリアキム・マンガラ(5200万ユーロ)にもかなりの額を支払っている。
総額で4億1255万ユーロは、常軌を逸していると言わざるを得ない。