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酒井高徳は名門で不可欠の存在だ。
監督交代もキャプテン継続の理由。
posted2018/02/24 07:00
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Getty Images
異なる国籍の人々から、リーダーにふさわしいと認められたのなら、それは本物のキャプテンだ。
そんな“本物”がドイツ北部の街で戦っている。
酒井高徳がキャプテンを務めているハンブルガーSV(HSV)。ドイツ勢で史上2クラブ目となるチャンピオンズカップ制覇、そしてブンデスリーガ創設以来すべてのシーズンを1部で過ごした唯一のクラブである。
その名門で日本人がキャプテンを務めるのは、もちろん初めてのこと。これまでキャプテンマークを巻いた選手はいたが、日本人選手がヨーロッパ主要1部リーグでキャプテンを務めるのも、初めてだった。
2016-'17シーズン序盤戦でラバディア監督が解任され、'16年9月にギスドル新監督が就任。それでもチームは思うような成績を残せなかった。そこでギスドルは就任1カ月半の時点で決断した。
「新しいカルチャーを持ち込みたいし、持ち込まないといけない。強固な団結心が必要だし、試合に向けたプロセスを変えないといけないし、必要なものを構築しないと」
そう語り、酒井に大役を任せたのだ。この決定は、ギスドルの評価だけによるものではない。“誰がキャプテンにふさわしい選手なのか?”と、彼が関係者にを聞いて回った末のものだった。
前監督の末期、チームは混乱していた。
しかし、そのギスドルも'18年1月20日のケルン戦の敗戦後、解任された。
体制末期、チームは混乱していた。
例えば1月13日のアウクスブルク戦ではパパドプーロスが、そしてケルン戦ではマフライがキャプテンマークを託された。酒井はいずれの試合でもベンチに座っていたから、他の選手が腕章を巻くのは不思議ではない。
しかし、パパドプーロス、マフライと立て続けに主将が代わったことを、パパドプーロスへの信頼のなさかと見る向きもあった。