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マンチェスターC、その狂気を称賛。
天文学的投資で作るDF陣と新理論。
text by
フィリップ・オクレールPhilippe Auclair
photograph byRichard Martin
posted2018/02/25 17:00
ディフェンスラインのストーンズとオタメンディ。それぞれ、60億とも70億とも言われるDF陣としては史上最高クラスの移籍金で加入した。
莫大な投資と、しっかりした経営状態。
だが、これほどまでの出費が可能であるのも、マンチェスター・シティが「ファイナンシャル・フェアプレー」に抵触することなく、思うがままに資金を投下できる正しい経営体制を確立しているからだ。
クラブが発表した'16~'17年のバランスシート(財政状態を表す資料)では、クラブの総収入は5億4100万ユーロで、前年より21%の増加となっている。
同時に115万ユーロの経常利益まであげている。
黒字決算はこれで3期連続である。
以前、UAEの企業との契約が過大評価とUEFAから判断され、罰金の支払いを命じられて以来、マンチェスター・シティはファイナンシャルフェアプレーの優等生であり続けている。しかも、その間にペップ・グアルディオラのディフェンス再構築に向けて、無尽蔵な資金の提供までをも可能にしてきたのだ。
新しい選手獲得のために放出した選手たち。
それができた一因としては、昨夏に大胆な人員整理を敢行したというのがある。
10人以上の選手たち――その中にはアレクサンダル・コラロフやパブロ・サバレタ、ヘスス・ナバス、ガエル・クリシ、バカリ・サニャ、ノリートも含まれた――が移籍や契約満了によりチームを離れた。そこで生まれた莫大な利益によって、今季も大々的な補強をおこないながら、経営状態は安定し続けているのである。
シティにとって、ディフェンスはそれだけ重要だった、ということだ。
そしてこの問題の核心は、シティがいかにして史上最高額ともいえる資金を調達できたのかではなく、なぜグアルディオラが、そのようなべらぼうな守備補強の道を選んだのか、にある。