フランス・フットボール通信BACK NUMBER
マンチェスターC、その狂気を称賛。
天文学的投資で作るDF陣と新理論。
text by
フィリップ・オクレールPhilippe Auclair
photograph byRichard Martin
posted2018/02/25 17:00
ディフェンスラインのストーンズとオタメンディ。それぞれ、60億とも70億とも言われるDF陣としては史上最高クラスの移籍金で加入した。
年々衰えていたシティの守備力。
たしかにここ数年来というもの、シティにおける守備力は課題であり続け、再構築は急務であった。
ロベルト・マンチーニとマヌエル・ペジェグリーニが信頼し続けた守備陣は、年齢的な限界を見せていた。
'11~'12シーズンと'12~'13シーズンにはリーグ最少失点を誇っていたディフェンスは、'13~'14シーズンはリーグ第2位、ここ最近の3シーズンは5位、5位、4位と確実に堅固さを失ってきていた。
だが、グアルディオラが問題視し、実践しようとしているのは単なる世代交代ではないのである。
グアルディオラは、この“シティ・プロジェクト”とでも言うべき巨大な改革をほぼ絶対的にコントロールしながら、バルセロナやバイエルン時代を大幅に上回る資金を自由に使い、攻撃とトランジションの再構築につながる新しいサッカーの原理を守備陣に導入しようとしているのである。
「トータルフットボール」の遺伝子。
彼の理念の中では、誰がサッカー戦術の創造者で誰が破壊者であるのか? という区別は無いようだ。
すべての選手や指導者がその両方であらねばならない、という考え方を持っているからだ。
その立場から彼は、「トータルフットボール」を引き継ぐものたちが慣れ親しんだ概念を、さらに遠くへと推し進めようとしているのである。
そういう意味で、イデオロギーの点では彼はリヌス・ミケルスとヨハン・クライフの息子であると同時にマルセロ・ビエルサの息子でもあるのだ。