マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
プロ野球に選手を送り出す監督たち。
風呂、宗教……心配の種は多種多様。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byKyodo News
posted2018/02/23 16:30
國學院大から3位で楽天入りした山崎剛。送り出した鳥山泰孝監督は、オーバーワークを一番心配しているという。
横浜隼人高の監督は今も宗佑磨を心配している。
「中学が部活の軟式で、そんなにしっかりした練習もしてなかったんで、ウチに来てからもケガばっかりで……。身体能力はなんの心配もしてなかったんですが、プロの練習についていけるんかなぁって、そればっかり心配で」
横浜隼人高・水谷哲也監督を今も心配させているオリックス・宗佑磨内野手は、プロ3年目の昨シーズン、ウエスタンリーグでほぼフル出場の104試合に遊撃手のレギュラーとして奮戦、打率.279をマークし、成長株として激戦のオリックス一軍遊撃手争いに臨んでいる。
頑張らなきゃ、と思いすぎないこと。
杉浦稔大(投手、2013年ヤクルト1位、現日本ハム)、山下幸輝(内野手、2014年DeNA5位)、柴田竜拓(内野手、2015年DeNA3位)、山崎剛(内野手、2017年楽天3位)。ここ数年、毎年のようにプロ球界に卒業生を送り出している國學院大・鳥山泰孝監督は、こんな話をしてくださった。
「1月の新人合同自主トレーニングも、最近は内容がかなりハードになっていると聞きますし、2月のキャンプはもちろん厳しい練習が続きます。球団の期待を背負って、多くの人の視線を浴びながら、誰だってよく見られたいと思いますから、どうしても張りきり過ぎてしまうものでしょう。でもそこでどう自分をコントロールしてオーバーワークにならないように、ケガや故障をせずにプロ選手としてのスタートを切れるか。いちばん心配なのは、そこのところですね」
期待されている、頑張らなきゃ、いいところも見せたい、誰よりも認められたい……そんな“高揚感”と、ちょっと待て、本当の勝負は今なのか、そんな“抑制感”とのバランス。
「新人ですから、きっとチーム内外の人たちから、いろんな指導を受けて、いろんな新しい情報が頭に入ってくる。それを全部取り込もうとせずに、自分にフィットするかしないかで取捨選択できるかどうか。そこでバランスがとれるかどうか。
よく、『プロ向きの性格』って言葉が使われるじゃないですか。そういう判断が自分でできることが、プロ向きの性格ってことなんじゃないかなって、最近そんな気がしてるんですよ」