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天皇杯って実は戦後に始まった?
喜び、切なさが交錯する元日決戦。
posted2018/01/01 07:00
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph by
AFLO
2018年、明けましておめでとうございます。めでたい。
年末年始、親族への挨拶もそこそこに、テレビをつければ様々なスポーツがやっている。高校サッカーにボクシングなど格闘技、ニューイヤー駅伝や箱根駅伝、そして元日のお屠蘇気分のまま始まる、サッカー天皇杯である。
お餅を食べすぎてこたつで寝そべったり、届いた年賀状を眺めつつボンヤリと見ている人も多いかもしれないが、天皇杯はれっきとした「国内3冠」の1つで、Jリーグの各サポーターにとって「元日決勝」は特別な意味を持つ。新年早々愛するチームを応援できて、勝てばACL出場権までついてくる。
今回で第97回を数えた天皇杯、英語では「EMPEROR'S CUP」と表現される。世界を見回してみると、スペインの国内カップ戦が「スペイン国王杯」と呼ばれるが、意外と王族や皇族を冠するタイトル戦は少ない。例えば皇室のイメージが強いイングランドでもFA杯(Football Association)といった具合である。
第1回は……「ア式蹴球全国優勝競技会」?
でも実は、「天皇杯」と天皇・皇族の関係性についてよく知らない、という人も多いのではないだろうか。恥ずかしながら、筆者も今回調べて改めて知ったことがいくつもある。せっかくなので、家族や親族にひけらかせる天皇杯の歴史とマメ知識について紹介しよう。
実は1921年に開催された第1回は「ア式蹴球全国優勝競技会」という大会名で、まだ天皇杯の「て」の字もなかった。ちなみに「ア式蹴球」とは明治時代、日本にサッカーが伝来された際に「アソシエーション・フットボール」を日本語訳したもので、早稲田大学と東京大学のサッカー部は今も「ア式蹴球部」という名称で活動している。そんな時代が20年ほど続いて、戦後に「全日本選手権」となった。