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天皇杯って実は戦後に始まった?
喜び、切なさが交錯する元日決戦。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byAFLO
posted2018/01/01 07:00
元日に数々の激闘が繰り広げられた天皇杯決勝。1999年1月1日のフリューゲルス優勝は日本サッカー史に残る記憶だ。
天皇杯がサッカーで設立されてから各競技にも。
日本サッカーにとって大きなターニングポイントとなったのは1947年4月の「東西対抗試合」でのこと。無理やり今のサッカー界で喩えれば、“Jリーグ東日本選抜vs.Jリーグ西日本選抜”のような戦いに、昭和天皇と皇太子(当時)がご臨席された。これをきっかけに翌'48年7月、サッカー界に宮内庁より天皇杯が下賜されることとなった。
ただ1949年と1950年は、天皇杯が授与されたのは「東西対抗試合」だった。それが全日本選手権の優勝チームに天皇杯が授与されるようになったのは翌1951年度から。ここから大会名も正式に「天皇杯全日本選手権」となったのだ。
「天皇杯」という名前の大会が戦後初めて設立されたのはサッカーだったが、これを機に各種競技で天皇杯が続々と誕生した。以下は「天皇杯」が大会として存在する主な競技だ。
サッカー、日本体育協会(国体1位の都道府県)、バレーボール、柔道、剣道、弓道、卓球、ソフトテニス、バスケットボール、陸上(全国都道府県対抗駅伝)、空手道、軟式野球。
ちなみに男子が天皇杯で、女子が「皇后杯」というケースもある。サッカーやバレーボールのファンにとってはお馴染みだろう。
野球の「天皇杯」は、東京六大学野球に存在。
そして実は野球にも、「天皇杯」が存在するのを知っているだろうか。それはプロ野球でも甲子園でもなく、東京六大学野球だ。
1926年に後の昭和天皇が東宮杯(摂政杯)を下賜されたことをきっかけに、天皇杯が授与されるようになった。つまり野球で天皇杯を獲りたいなら慶大、明大、法大、立大、早大、東大いずれかの野球部に所属しないと、どんなに実力があっても叶わない、とも言える。ちなみに日本の国技・相撲でも、本場所優勝を果たした力士に天皇杯が贈られる。
そして天皇杯以外だと、有名なのは競馬の「天皇賞」だ。歴史は古く1880年、元号にして明治13年のこと。正式に「エンペラーズカップ」という名前になったのは1905年のことだった。