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ペトロヴィッチ式は札幌に合う?
浦和での5年半に見る魅力と危うさ。
posted2018/01/02 08:00
text by
塚越始Hajime Tsukakoshi
photograph by
Getty Images/J.LEAGUE
サンフレッチェ広島、浦和レッズとJリーグで通算12シーズンに渡り指揮を執ってきた「ミシャ」ことミハイロ・ペトロヴィッチ氏が2018シーズン、コンサドーレ札幌の新監督に就任する。
浦和を常に上位で戦うチームに引き上げたものの、タイトルを目の前で獲り逃してきた。そして2017年、攻撃に比重を置いて崩したバランスを修正できず黒星を重ねて解任された。
その詰めの甘さばかりが何かと話題になってきた。ただ、独特のスタイル導入により、日本のサッカーを大きく変えた人物と言っていい。
指揮官の下、広島と浦和でプレーしてきた柏木陽介は言う。
「すべての外国人監督のなかで、最も日本人の良さを理解したうえで戦ってきてくれたと思う」
オーストリア国籍を持つセルビア出身の60歳の指揮官は、札幌でどのような戦いを繰り広げてくれるのか。その期待と課題をまとめた。
広島、浦和と違って「大本命」として迎え入れた。
まず在籍した過去2チームと異なるのは、札幌がミシャを大本命として一本釣りに成功したことだ。それは2011年の浦和と比べてみると明確だ。
この年の浦和は何をやっても上手くいかず、J1残留ラインぎりぎりの15位でシーズンを終えた。そのオフ、フロントは岡田武史氏、西野朗氏にオファーを出したが、いずれも断られた。そして3人目の候補から就任したのが、ミシャだった。
本人は「実は広島でも私は3番目の候補だった」と明かしている。「交渉とはそういうもの。だからと言ってその3人の中で、私が一番劣る人材だとは思っていない。むしろ『3』は私のラッキーナンバーかもしれない」とポジティブに解釈していた。
それとは対照的に、札幌の動きは早かった。7月30日にミシャが解任されると、9月上旬までには正式オファーを出している。四方田修平監督のもと、札幌は夏のマーケットで獲得したジェイがフィットして得点を量産し、3-4-2-1でJ1残留に成功している。これはミシャが広島と浦和で採用した基本布陣と一緒だ。すでに就任への布石だったとも言える。