フランス・フットボール通信BACK NUMBER

ロシアW杯不出場のアフリカの巨象。
コートジボワール代表、崩壊の課程。 

text by

フランク・シモン

フランク・シモンFrank Simon

PROFILE

photograph byAlain Mounic

posted2017/12/07 08:00

ロシアW杯不出場のアフリカの巨象。コートジボワール代表、崩壊の課程。<Number Web> photograph by Alain Mounic

若い代表選手たちを中心に、“エレファン”再建の道は、いま始まったばかりである。

驚くほどの凋落は、わずか3年の出来事だった。

 とはいえビルモッツは、二重国籍を持ちながらこれまで代表入りをためらっていた若い選手たち――コルネやフォファナ、グバマン、ニャノンらを代表入りさせることに成功したのだ。

 彼らの中には、代表に加わって初めて母国を訪れた者もあったくらいなのだから。

 またビルモッツは、サロモン・カルーやセレイ・ディエ、さらにはジェルビーニョなどのベテランを説得して代表引退を延期させ、チーム力の維持にも全力で努めた。

 それでも2012年には14位、2015年もまだ19位だったFIFAランキングが、61位にまで落ちてゆくのを止めることはできなかった。

 アフリカ王者から嘲笑の的に成り下がるまで3年もかかっていない。凋落は劇的だった。

“エレファン”は、内側から自壊していった。

 2015年7月から'17年1月まで代表監督を務めたミシェル・デュシュイエは、目の前で起こっている没落の激しさに驚きを隠せなかった。

「まったく予想もつかないことだった。チームの状態は決して悪くなかったし、守備が強固になって上昇気流に乗ったと感じていたんだ」

 実際、彼が率いた“エレファン(コートジボワール代表の愛称。「象」の意)”は、1年前(2016年11月15日)にランスでフランスと0-0で引き分けている。

 だが彼は告白する。

「CAN2017の準備のためのアブダビ合宿でチームに亀裂が生じた。共同生活を送っていく過程で、グループが内側から崩壊していくのはよくあることで、その後に向けての危険な兆候ではあった」

 そして、CAN2017での結果は散々だった。

 ガボンでのCAN本大会では、トーゴ戦(0-0)、コンゴ民主共和国戦(2-2)と引き分け、モロッコ戦(0-1)では敗れ、いいところなくグループリーグで敗退した。

 デュシュイエが振り返る。

「今でも不思議に思うのは……ガボンのホテルに到着してから、すべてが変わってしまったことだ。状況が普段よりずっと複雑になった」

【次ページ】 そもそもこのチームにスペクタクルは無かった!?

BACK 1 2 3 4 5 NEXT
#マルク・ウィルモッツ
#セレイ・ディエ
#セルジュ・オーリエ
#ロシアW杯
#ワールドカップ

海外サッカーの前後の記事

ページトップ