スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
スペイン、初戦ポルトガルは歓迎?
2大会ぶりW杯制覇へ楽観ムードが。
posted2017/12/10 08:00
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph by
Getty Images
ワールドカップの組み合わせ抽選会を前に、シミュレーターを使って擬似抽選を楽しんだ人は多かったのではないか。
スペイン最大手のスポーツ紙『マルカ』は、このシミュレーションをなんと50万回近くも繰り返し、出場各国がスペインと同組になる確率を計算していたのだが、その結果は驚くべきものだった。
ポット1の他の6チームはいずれも10%弱だったのに対し、ブラジルとアルゼンチンだけが20%超の確率で同組になったのである。ポット2に組み込まれたスペインが最も懸念していたこと。それは他でもない、ブラジルかアルゼンチンを引き当てることだった。
もちろんドイツやフランスも避けるべき強敵だ。ただポット1でヨーロッパのチームと同組に入れば、各グループとも同地域は2チームまでと限られているため、ポット3、ポット4では他地域の国しか当たらなくなる。そうなれば、2強2弱のグループとなる可能性が高い。
しかし南米の2強と同組に入れば、ポット3でデンマークやスウェーデン、もしくはポット4でセルビアが入ってくる可能性が高くなる。さらにナイジェリアやセネガルといった伏兵まで加わり、ブラジル、スペイン、スウェーデン、ナイジェリアなんて組になったら最悪だ。
ポルトガルがいても、イランとモロッコなら……。
幸い『マルカ』に煽られた不安は杞憂に終わり、ポット2のドロワーを務めたディエゴ・マラドーナは隣国ポルトガルのB組を引き当ててくれた。その後ポット3ではカフーがデンマーク、ポット4ではファビオ・カンナバーロがセルビアをB組に引き当てたものの、ルールに従い他の組へ。結果的にはイランとモロッコがB組に加わった。
元レアル・マドリー監督のカルロス・ケイロスが2011年から率いるイランは、アジア最終予選で無失点のまま首位突破を決めた手堅いチームだ(消化試合となったシリアとの最終節で2失点しただけ)。20年ぶりの出場となるモロッコも、コートジボワール、ガボン、マリとの最終予選を無失点で勝ち抜けている。
いずれも堅守を誇るチームであり、足元をすくわれないよう注意する必要はある。それでも2強2弱のグループであることは間違いなく、よほどのことがない限り2位以内には入れるだろう。