フランス・フットボール通信BACK NUMBER
ロシアW杯不出場のアフリカの巨象。
コートジボワール代表、崩壊の課程。
text by
フランク・シモンFrank Simon
photograph byAlain Mounic
posted2017/12/07 08:00
若い代表選手たちを中心に、“エレファン”再建の道は、いま始まったばかりである。
「私は敢えて火中の栗を拾った。それが真実だ」
ビルモッツは自らのツイッターで、コミュニケへの慇懃な返答を寄せている。
同時に彼は、自らの冒険が大都市アビジャンが臨むエブリエ湾のラグーン(潟)で終わりを告げることをまるで予感していたかのような、W杯予選期間中の忌憚なき気持ちも吐露していた。
「着任する前から、チームに問題があることはわかっていた。未来を見据えて、私は若手を積極的に起用した。その点が責められるというならば、私は喜んで責任を負う。キャプテンに関して、過ちを犯したのは確かだ」
そして次の言葉で締めくくった。
「私は敢えて火中の栗を拾った。それが真実だ」
メディアも世論も、暫く前から彼の解任を求めていた。たとえば日刊紙の『アビジャン・スポール』では、巻頭言でショワリオ・ディオマンデ記者の次のような言葉を掲載している。
「予選突破に失敗したとき、代表を統括するプロ意識のかけらもないスタッフたちは、スケープゴートを探し始める。ただビルモッツの場合は弁解の余地がない。あれだけ酷い結果しか残せないのでは、解任されて当然だ」
6試合を戦って2勝2分2敗。
勝利は3-0で勝ったガボン戦と、3-1のマリ戦である。
攻守に統制を欠いたチームはリーダーが不在で、それぞれが自分の仕事に専念するのみ。またゴールキーパー(シルバン・グボウオ)も、ベストの状態からは程遠かった。
アフリカの文化を理解した上でのキャプテン指名を。
ビルモッツにとって、スタートから状況は厳しかった。
就任直後の2つの試合――アウェーのオランダ戦(親善試合/0-5)とホームのギニア戦(CAN2019予備予選/2-3)――でいきなりの連敗。
彼が最初に行おうとしたのは、本来ならばベテラン選手のセレイ・ディエ(バーゼル)の腕に巻かれるはずのキャプテンの腕章を、セルジュ・オーリエ(トッテナム)に託そうとしたことだった。
だが、すぐに意見を変えてチームで最も経験豊富な選手に委ねたのは、アフリカの伝統的な価値観――目上の者を尊重する――を重んじる選手たちの反発を受けたからだった。