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名門復活の理由はどこにあるのか。
順天堂大学・長門俊介監督が見せた手腕。 

text by

折山淑美

折山淑美Toshimi Oriyama

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photograph bySankei Shimbun

posted2017/11/24 11:30

名門復活の理由はどこにあるのか。順天堂大学・長門俊介監督が見せた手腕。<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

「順大は優勝を目指すチームなのに……」

「僕が練習メニューを立てて現場でもメインに練習を見るようになったのは2015年からですが、その年に主将になった松枝(博輝・現富士通)のお陰でチームのメンタルが変わってきた。彼は中学時代に順大が優勝したのを見て憧れて入ってきた選手です。『順大は優勝を目指すチームなのに、今はシード権を目指すチームになっている』と年間のテーマを“意識改革”にした。

 それからチームもガラッと変わりました。僕も『今日はきついことをやるぞ』というのではなく、『このくらいはいけるだろ』とサラッと言って練習の設定タイムを上げたりして。選手たちは『待てよ?』というような顔をするけど、それができるようになってきたんです。僕が順大にコーチとして戻って来たころは集団でやるはずのポイント練習も、(選手間の距離が)離れて当たり前という感じでバラバラになっていましたが、今は離れる者の方が少ない状態になっている。中間層のレベルが上がってきたということですね」

 さらにその年にリオデジャネイロ五輪にも出場した塩尻和也が入学してきたことも大きいという。1年時から箱根駅伝の2区で積極的な走りを見せ、1区の出遅れを立て直して6位、翌年の4位という総合順位に貢献している。その結果で選手たちも自信を持てるようになってきた。

クロスカントリー導入でケガ予防へ。

 また、故障者が減ったことも躍進理由のひとつ。

「今はクロスカントリーに重きを置いています。それによってケガをしなくなったのが大きいですね。シード権を落とした年は主力を故障で使えなかったのが原因です。今は使いたい選手を使える状況になっている。それを支える要因として体幹トレーニングもあります。

 長距離の場合はフィジカルトレーニングの面で他競技より遅れている部分がありました。なので、他競技で長距離にも対応できるものを考え、同じようなスマートな体型ながら軸をしっかり使っているフィギュアスケートのフィジカルトレーナーを探して協力してもらいました。身体に軸ができることで、一番多かった足関節のケガもピタッと無くなった。バランスを上手くとれることで不整地での捻挫も少なくなり、クロカンで追い込めるという相乗効果がでていると思います」

 さらに箱根駅伝へ向けた調整方法も変えたという。かつての順大には才能のある天才肌の選手が多かったが、スカウトが難しくなっている今は違う。そのために春のうちから選手のタイプを見極め、秋からはスピードが必要な往路とひとりでも淡々と走れなくてはいけない復路の選手を分けて練習をさせるようにしている。

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