第94回箱根駅伝(2018)BACK NUMBER
名門復活の理由はどこにあるのか。
順天堂大学・長門俊介監督が見せた手腕。
text by
折山淑美Toshimi Oriyama
photograph bySankei Shimbun
posted2017/11/24 11:30
「性格的に大人しく、集団が優しいですね」
「僕ひとりではなく、経験豊富な黒田政夫コーチが支えてくれているというのは大きいですね。ただ、駅伝ということを考えればここ一番でまだ力を発揮できていない。性格的に大人しく、集団が優しいですね。優勝候補の東海大や青学大を見ていると、そういう雰囲気がある。やっぱり勝つとなるとそういうチームで無くてはいけないと思います」
来年の箱根駅伝本番でも、1区からいい位置に付け、エースの塩尻を有力ランナーと一緒に走らせて力を存分に出せる状況にしたいと考える。だが、そのために1区にもうひとりのエースである栃木渡を配置するような奇策は取りたくないという。あくまで適材適所の配置で勝負をしたいと長門監督は言う。
「後ろに栃木がいないと他の大学も怖くないでしょう。1区に使ってしまえば塩尻が2区でガンと行っても『行かせとけ』となる。僕が他大学の監督だったらそうしますから」
こう話す長門監督がまず目標にするのは塩尻と栃木の二枚看板を上手く機能させての往路優勝だ。優勝候補と目される強豪校がミスを重ねることがあれば総合優勝も視野に入ってくる。長門監督は今、順大をそこまでの力を持つチームに育てたという手応えを感じている。
「まだまだ今年の順大は『優勝を狙って獲りにいく』チームにはなっていないなと思います。でも、上位にミスが起きれば――虎視眈々と狙っていきますよ」