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“鈴鹿に14万人しか来ない”なのか?
日本GPの意義、問題の根本を考える。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images
posted2017/10/21 11:30
数は減っても、鈴鹿のファンの熱量は高く、ドライバーのファンサービスも丁寧だ。問題はそれ以外のところにある。
いま問われているのは高額な開催権料ではないか。
実は過去にも日本GPの存続が危ぶまれた時があった。'09年に日本GPを鈴鹿と交互開催する予定だった富士スピードウェイが'10年以降の開催を断念したときだ。当時、鈴鹿は「F1日本GPの歴史が途切れることを回避するのが、私共の役割と認識」(大島裕志/当時モビリティランド社長)してF1側と交渉し、開催を続行させたのである。
それから9年間、鈴鹿はF1を開催し続けてきたが、その契約も来年の'18年で切れる。'19年以降についての交渉はこれからだ。
もし、約7万人が訪れるイベントが続けられないような事態になれば、その原因はコース上でバトルを繰り広げているドライバーにあるのではなく、ファンサービスを充実させているサーキット側にあるわけでもない。いま問われているのは、高額な開催権料ではないか。
今年からF1の商業面を統括する会社の新しい会長となったチェイス・キャリーは、今年鈴鹿を訪れた際、こう言って日本GPを讃えたという。
「やっぱり鈴鹿はすごい。これだけ多くのファンが朝も夜もサーキットに駆けつけ、熱狂的に応援するグランプリはほかにはない。鈴鹿は特別だ」
その言葉が、単なるリップサービスでないことを祈りたい。